2010-10-20 Wed
「天を相手に、真剣勝負を見せてもらう」
『天地明察』
冲方 丁
角川書店
2009年 11月 30日
第31回 吉川英治文学新人賞
第7回 本屋大賞 第1位
第7回 北東文芸賞
第143回 直木賞 候補作
★★★★★
<あらすじ>
江戸、四代将軍家綱の御代。戦国期の流血と混迷が未だ大きな傷として記憶されているこの時代に、ある「プロジェクト」が立ちあがった。即ち、日本独自の太陰暦を作り上げること。武家と公家、士と農、そして天と地を強靱な絆で結ぶこの計画は、そのまま文治国家として日本が変革を遂げる象徴でもあった。 実行者として選ばれたのは渋川春海。碁打ちの名門に生まれながら安穏の日々に倦み、和算に生き甲斐を見いだすこの青年に時の老中・酒井雅楽頭が目をつけた。「お主、退屈でない勝負が望みか?」 日本文化を変えた大いなる計画を、個の成長物語としてみずみずしくも重厚に描いた新境地。時代小説家・冲方 丁誕生の凱歌がここに上がる!公式HPより

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2010-02-26 Fri
1936年2月26日、午前4時21分。処刑されたはずの安藤輝三は、第三連隊を率いて三宅坂を行く。
国連の協力を得て、2度目の鈴木貫太郎侍従長襲撃を完遂するのだ。
懐の”ピリオド”には、残された正規残存時間がデジタル表示されている。
”327:50:39”

『ねじの回転』 (上・下)
恩田陸著,集英社,2002年12月
★★★★
鈴木貫太郎。
江戸時代の最後の年に生まれ、日露戦争では水雷戦にて”鬼カンタロー”の異名をとる活躍をし、2・26事件にて襲撃され頭部を撃たれるものの、蘇り、太平洋戦争末期には首相となって終戦を果たします。
物語は、主人公の1人である安藤輝三が2月26日に鈴木貫太郎を襲撃するところから始まります。しかしながらこれは初めての襲撃ではありませんでした。
すでに処刑されたはずの安藤は、21世紀の国連により蘇生され(というか時間を巻き戻され)、再度「史実を再現すること」を求められるのです。少しでも「史実」と異なる結果となれば、「不一致」として時間を巻き戻されやり直し。さらに、未来人に同じ任務を任された人間が他にも2人。
そして暗躍をはじめる「4人目」。
選ばれた介入ポイント「昭和維新」を舞台に、恩田陸が描く本格SFミステリです。

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2009-07-30 Thu
幕軍は、老中格松平正質を総督として、諸隊を部署した。兵数からみれば、幕軍のがわが、圧倒的に優勢である。
「この戦さは勝つ」
と歳三は信じた。
新撰組、それもしぼってみれば、江戸から京都にかけて苦楽を共にした二十人内外が、
おそらく奮迅のはたらきをするであろう。
歳三は、ふしぎと心がおどった。
多摩川べりで県下に明け暮れていた少年の歳三が、いま歴史的な大喧嘩をやろうとしている。
その興奮かもしれない。
やがて暮も押しつまり、年が明けた。
明治元年。

『燃えよ剣』
司馬遼太郎著,新潮文庫,1972年6月
★★★★
「乱世」特集いよいよの最終弾は、幕末の京を血飛沫で染め上げた壬生狼・新撰組の
“鬼の副長”、土方歳三を描いた『燃えよ剣』です。
(乱世特集はこちらからどうぞ)
幕末を彩る新撰組。
思想戦の様相を呈し、時勢が二転三転してややこしい幕末ですが、
新撰組はそんな「幕末」という乱世を象徴する存在といっていいのではないでしょうか。
========

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2009-07-13 Mon
織部正の陰謀は、すでに善十を竹内峠からよんだときから、周到にすすめられていたのであろう。織部正は、自分の人生を自分の手で割り砕いた。
が、みごとに補綴した。
(第三編『割って、城を』より)

『人斬り以蔵』
司馬遼太郎著,新潮文庫,1969年12月
★★★★
<目次>
・ 鬼謀の人
・ 人斬り以蔵
・ 割って、城を
・ おお、大砲
・ 言い触らし団右衛門
・ 大夫殿坂
・ 美濃浪人
・ 売ろう物語
「乱世」特集第6弾は司馬遼太郎の短編集『人斬り以蔵』。
と言っても今回は『人斬り以蔵』ではなく、本書に掲載された別の2編をご紹介したいと思います。
(乱世特集はこちらからどうぞ)

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