2011-04-22 Fri

『知財立県』
-埼玉県発、特許を活かす-
野口満著,工業調査会,2008年9月
★★★★
<目次>
1.特許流通と技術移転
2.埼玉県特許流通活動からのメッセージ
3.知財立県づくり
4.知財活用に成功した
エクセレント・アイピー・カンパニー
5.「ホンダの教え」に学ぶ
6.知的財産は人的財産
地方出身ゆえか、ついタイトルに惹かれて買ってしまいましたよ。
本書はホンダで顕職を歴任した著者が、定年後に知財アドバイザーとして埼玉で活動した記録。
2002年の知財立国政策の一環として特許流通事業というものが開始され、著者は中堅企業の多い埼玉にて活躍をされました。
ゼロから埼玉の特許流通事業を立ち上げ、地道に足を使っての活動はなかなか真似できるものじゃないです。知財ってやっぱ泥臭いなーと思いつつ、人と人の繋がりがまた醍醐味であることも思わせてくれた一冊です。
(知的財産てなんだ? という方はこちらからどうぞ)

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2011-04-03 Sun
『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』

辻野晃一郎著,新潮社,2010年11月
★★★★
<目次>
1.さらばソニー
2.グーグルに出会う
3.ソニーからキャリアをはじめた理由
4.アメリカ留学
5.VAIO創業
6.コクーンとスゴ録のチャレンジ
7.ウォークマンがiPodに負けた日
8.グーグルの何が凄いのか
9.クラウド時代のワークスタイル
10.グーグルでの日々
11.グローバル時代のビジネスマインドと
日本の役割
本書は元グーグル日本法人代表取締役である辻野氏の回顧録。
おもしろいのは何といっても氏の経歴で、20年以上ソニーに勤め、VAIOやスゴ録(おススメの番組を自動録画してくれる機能)、グーグルTVの原型ともいえるコクーンを生み出してきました。それら事業部門のトップマネジメントをこなしながらもソニーを退社した辻野氏。
本書はタイトルこそ「みんなソニーが教えてくれた」ですが、この言葉には皮肉がこめられていて、反面教師的な意味合いでの「教えてくれた」というニュアンスが強いように感じます。
大企業に「なってしまった」ソニーと新興企業のグーグルを改めて比較してみて、このままでいいのかな、と思わされる一冊でした。

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2010-12-18 Sat
2010年は「3D元年」呼ばれた1年でした。去年12月の『アバター』公開を皮切りに『アリス・イン・ワンダーランド』など多くの3D映画が相次いで上映され、3D対応のTVやカメラも各社から上市されました。みなさんも立体的な一年を過ごされましたでしょうか。
ということで、3Dにちなんで1冊読んでみましたよ。

『3D世界規格を作れ!』
本田雅一著,小学館,2010年10月
★★★★
※PDFでのダウンロードはこちら
メディアに関しては新たな技術が立ち上がるたびに新たな規格が現れています。3Dもまた然りで、本書では3Dの規格策定を切り口に、企業とエンジニアを描きます。
池上彰は『そうだったのか! 現代史』で「出来事はその50年前までさかのぼればよくわかる」と述べていますが、本書もブルーレイまで続く標準化の歴史を紹介し、その上での3Dの位置付けを見事に分析しています。
(標準化関連のレビューはこちらをどうぞ。標準化ってなんだ?と言う方はこちらも)

関連するタグ Otoya 【一般書】 【経済産業】 本田雅一
2010-11-28 Sun
備忘録を兼ねて、最近気になった日経ビジネスの記事の感想をまとめてみました。今回読んだのは、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加をどうするべきか、という記事。
ここでTPPとは、環太平洋地域におけるFTA(自由貿易協定)を意味していて、参加国間の関税が撤廃されるというもの。関税が撤廃された場合、輸出品目(=工業製品)には競争力がつく反面、国内の農業市場が危険にさらされるという危惧があるため、国内で賛否が分かれています。
特集『TPPが日本を開く』
日経ビジネス,2010年11月15日号

テーマ:なんとなく書きたいこと。。 - ジャンル:日記
関連するタグ Otoya 【その他】 【ビジネス誌】 【経済産業】 日経ビジネス2010-11-23 Tue
『ひょっこりひょうたん島』のラストシーンを知っていますか?僕は再放送でしか見たことなかったけど、大好きだったこのシリーズ。
ひょうたん島は「島民全員が郵便局員」という島にたどり着くのですが、このエピソードが日本の郵便政策を揶揄しているとして、郵政省により打ち切りにされたそうです。まあwikipedia情報なんだけど、その後郵政が民営化されたことも踏まえて、内容を確かめてみたいところです。
この『ひょっこりひょうたん島』の放送作家が井上ひさし。
いまや放送史に巨大な足跡を残したこの反骨精神旺盛の人は、本職とは離れたところに1つ信念があったよう。それが「コメ」。
氏は日本のコメ問題に大きな関心を持っていて、講演を開き著書を何冊か残しました。
僕もお米が大好きなので、今回はその一冊を読んだ感想を。
20年も前に書かれた本だけど、当時のコメをめぐる日本の様子がよくわかって面白かったです。
また、今議論になっているFTA締結に絡んでも、考えさせられる資料でした。

『コメの話』
井上ひさし著,新潮文庫,1992年2月
★★★
<目次>
・井上ひさしのコメ講義
・一粒のコメから地球を見れば
・コメ一粒から見えてくるもの
・コメの話
・好きで嫌いで好きなアメリカ
・続・コメの話
・コーデックス・アリメンタリウス
・こだわる理由

関連するタグ Otoya 【一般書】 【社会/政治】 【経済産業】 井上ひさし
2010-11-15 Mon

『リストラなう!』
綿貫智人(たぬきち)著,新潮社,2010年7月
★★★★
元ブログ:たぬきちの「リストラなう」日記
ちょっと衝撃的なタイトルの本書は、大手出版社の経営悪化に伴う早期退職優遇措置に応募したたぬきち氏の、退職の状況を実況したブログ「たぬきちの「リストラなう」日記」を書籍化したもの。
年収1000万強、退職金5000万という赤裸々な数字も公表するたぬきち氏に対して、コメント欄にも賛否両論の議論が。そういったコメントの様子もしっかり収録されていて面白いです。
たぬきち氏の場合「リストラ」というにはちょっと特殊かとは思いますが、早期退職の呼びかけにより職場の空気がどう変わるのか、大手企業の傾く様子、また書籍業界の話などが盛り込まれていて、非常に面白かったです。

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2010-10-15 Fri
「コンピュータは、世界に5つあれば事足りる」(サン・マイクロシステムズ最高技術責任者 グレッグ=パパトボラス)

『クラウド・
コンピューティング』
西田宗千佳著,朝日新聞出版,2009年1月
★★★★
<目次>
1.(サービス化)ソフトがネットへ溶けていく
2.(ボーダレス化)「iPhone」の革命
3.(オンライン化)すべてがネット(雲)の向こうに
4.クラウド・コンピューティングという「現象」
5.クラウドの課題と未来
もうすっかりお馴染みになってしまった「クラウド」と言う言葉。
インターネットはかつての「検索のためのツール」を超えて、amazonのような「チャネル」となり、mixiなどの「コミュニケーションツール」となって、やがてコンテンツやアプリケーションを雨として降らせる「雲」になりました。
とか言ってみたり。
読んだのもしばらく前だし、驚異的な今さら感。でもせっかくだし感想です。
クラウドってよく聞くけど結局定義付けると何なのか?
本書では、「クラウドとは“現象”である」という仮説をもとに、現状のインターネットとコンピュータのあり方を解説してくれてます。特に新しい知見はなかったけど、「いま何が起こっているのか?」を改めて整理するのに役立つ一冊。

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2010-08-23 Mon
2010年8月9日号の日経ビジネスでプロジェクタ特集がされていたので紹介します。プロジェクタというと会議室のプレゼン発表とか、家庭内映写とかで、僕はあまり派手なイメージを持ってなかったです。
が、記事を読んで見るとわりと近い将来について世の中を変えそうなので、まとめてみました。
従来の据え置き型(いわゆる一般的なプロジェクタ)に対して、最近出現したのが次の2ジャンル。
・ピコプロジェクタ
・短焦点型プロジェクタ
百聞は一見にしかず、まずは8月19日に発表されたNIKONの「プロジェクタ付きデジカメ」を見てみてください。僕はそれなりに驚きましたよ。

ニコンデジタルカメラ
「COOLPIX S1100pj」
中心部がプロジェクタに。
そうきましたかそうですか。

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2010-08-19 Thu
標準化戦略の決定版!
藤野仁三・江藤学共著,白桃書房,2009年12月
★★★★
<目次>
1.標準の歴史
2.標準とビジネス
3.標準の技術的効果
4.標準の作られ方とその効用
5.標準の国際性
6.新しい標準と認証ビジネス
7.標準の法的リスク
8.主要国の標準化戦略
9.標準の企業戦略
10.標準化の事例
さて今回は、最近出た(と言っても半年以上経っちゃいましたが)標準化の本をご紹介。
標準とは、例えばネジのオス/メスの形を決めるなどして、みんなで同じ部品を使えるようにすること。技術開発や、ひいてはビジネスの普及戦略に欠かせません。
(詳しくは「標準ってなんだ?」もお読み下さい)
本書冒頭では、例えば日本における鉄砲の普及を例に、根来寺(鉄砲武装の傭兵集団"根来衆"の根拠地)と国友村(名砲"国友筒"を量産)での技術波及の様子を紹介したりと、歴史的経緯も参考におもしろく書いてくれています。
「標準化」の基礎と応用について本当にわかりやすく、しかも簡潔かつ網羅的に示されており、標準化の教科書として決定版になるのではと思います。

関連するタグ Otoya 【一般書】 【経済産業】 【標準化】 藤野仁三 江藤学
2010-07-07 Wed
さて、前回に続いて今回も、日経ビジネス(5月31日)のiPad記事のレビューです。前回は「iPadは米国ほどには普及しない」という論点について解説しました。
今回はiPad上陸に伴う日本の出版業界について述べたいと思います。一応書評サイトですしね。
『iPad上陸』
<目次>
・米国最前線レポート:「もう手放せない」
・変わるニッポン:「動く」雑誌、出版変革
・踏み出せぬ理由:テレビは系列に配慮
・コラム:宮部みゆき氏に聞く「出版文化、守りたい」
・アップル躍進の舞台裏:勝利の法則は続くか
なおバックナンバーは6ヶ月まで購読可能との事。
また、singによるiPadレビューもご参考ください。

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