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ラ・フォル・ジュルネ
【文学】 『本日は大安なり』

『本日は大安なり』

   辻村深月

   2011年2月

   角川書店

  (『野性時代』2009年8月号-2010年8月号連載)

   ★★★★






<あらすじ>
一世一代のたくらみを胸に秘める美人双子姉妹、クレーマー新婦に振り回されっぱなしのウェディングプランナー、大好きな叔母の結婚にフクザツな心境の男子 小学生、誰にも言えない重大な秘密を抱えたまま当日を迎えてしまった新郎。憧れの高級結婚式場で、同日に行われる4つの結婚式。それぞれの思惑と事情が臨 界点に達した、そのとき―。世界一幸せな一日を舞台にした、パニック・エンターテインメント長編の大傑作。
amazonより


私事ではございますが、singは結婚いたします。3日後に。
だから、というわけではないのですが、結婚式場が舞台の小説です。
特に、(結婚願望あるなしに関わらず)独身者こそ読むべき本と思います。


◇とんでもないドタバタ劇

結婚式当日は、とにかく一日中ドタバタしまくる日です。当人はもちろんですが、式場スタッフの忙しさも相当なものです。ましてや人気の結婚式場となると、1日に15件こなす、なんてこともあるそうです。

さて、本書はそんな超人気の結婚式場を舞台に、4組の結婚式の様子を入れ替わり立ち替わりに追っていく小説です。主人公らしい主人公がいるわけではなく、4組の新郎新婦、そして親戚やウェディングプランナーなど、たくさんの人が登場します。
ある程度読み進まないと、誰が誰やらわからなくなりますが、次第に彼らの裏事情が明かされていくと、もう間違えようのないくらい印象的なエピソードをもった人々であることがわかります。

私が一番衝撃だったのは、ウェディングプランナーの山井さん。自分の担当する式の新婦が、昔○○を△△した相手だとは!
設定そのものはそこまで目新しいものではないと思いますが、この事実が明かされるまで全く気づかなかったのは、山井さんのプロ根性がハンパないがゆえでしょう。
華やかとは思いますが、因果な職業ですね…

本書の奥付を見ると、連載時は1話ずつストーリーがしっかり分かれていたようですが、本作ではシーンごとに主観(視点)が切り替わります。新郎新婦のときもあるし、家族も、式場スタッフのこともあります。まるで糾える縄のよう。
私は連載時に読んでいないので、その再構成がどれほどの変更かわからないのですが、タイムスケジュールはもちろんのこと、心理描写までたいへん緻密な構成を組み立てた著者の手腕には敬服します。


◇双子モノの傑作

古今(特にミステリーで)双子という題材は多く使われてきましたが、そうなると必ずといっていいほど起こるトリックがあります。ご存知、双子の入れ替わりです。

本作でも、とあるカップルの新婦と、その双子の姉が入れ替わります。目的は、新郎がこの入れ替わりに気づくかどうか。
自称「ややこしい」新婦は、式が終わるまでに新郎が気付かなければ、すぐ離婚するつもりでいます。新婦役を演じる双子の姉も、ある理由から、入れ替わりに全面協力します。

ネタバレしてしまうと、結果的に、新郎は見抜きます。
ここで注目は、新郎が「いつ気付いたか」。そして、気付いたことを双子に「いつ打ち明けるか」。逆にいえば、双子は「新郎に見抜かれたことにいつ気付くか」。
3者がそれぞれとても深い思惑を持って、誰にも気付かれず、とんでもないゲームに挑んでいます。ほんとにややこしいですが、こういうややこしい作品が好きな私にはツボでした。


◇けっこんてなに?

周囲は結婚する二人を祝い「トラブルは二人で乗り越えていく」と見守ることでしょうが、実際に結婚するには周囲の協力が不可欠です。
極端にいえば、二人で生活していくだけなら結婚しなくてもいいんです。バイトなりでも働いていれば最低限のお金には困らないだろうし。

同棲と違うのは、互いの家(家族)同士がつながりを持つ、ということだと思います。
それぞれ数十年かけて作り上げ、安定していた家族の形が変わり、「異物」が入ってくるわけです。
それは新郎新婦だけで解決できるものではなく、するべきでもありません。

本作では、そのあたりのリアルな事情なんかも詳しく描かれています。そのため、結婚ってすげー大変だな、と思ってしまいますが、それ以上に良いものなんだろうと思わせてくれます。そして、4組のカップルとその周囲の人々の、真剣勝負に身が引き締まる思いがするのと同時に、ラストのハッピーエンドに感動します。
例えて言えば、大親友の結婚式に出席したような、そんな幸せな気持ちにさせてくれる作品です。



** 著者紹介 **
辻村深月(つじむら・みづき)
1980年2月29日、山梨県笛吹市出身。山梨学院大学附属高等学校から千葉大学教育学部卒。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。幼い頃から読書好きで、「シャーロック・ホームズシリーズ」や「少年探偵団シリーズ」などのミステリーから、「ズッコケ三人組」や「クレヨン王国」などのジュブナイル、「悪霊シリーズ」などのホラー小説などを読んでいた。幼少期からのドラえもんファンであり、『凍りのくじら』では各章にひみつ道具の名前を付けるというスタイルをとった。2010年、『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』が第142回直木三十五賞候補及び第31回吉川英治文学新人賞候補となった。2011年、『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞受賞。
Wikipediaより

sing



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関連するタグ sing 【小説】 【文芸書】 辻村深月
文学 | 22:00:00 | トラックバック(1) | コメント(0)
【文学】 『神様のカルテ』
「医者の話ではない、人間の話をしているのだ」


『神様のカルテ』

   夏川 草介

   第1巻 2009年8月
   第2巻 2010年9月

   小学館

   ★★★★








今夏に映画化されます。芸能人にあまり興味のないsingですが、宮崎あおい主演となれば話は別です。
原作は結構前に読んでいたのですが。

<あらすじ>
栗原一止は信州の小さな病院で働く、悲しむことが苦手な内科医である。ここでは常に医師が不足している。
専門ではない分野の診療をするのも日常茶飯事なら、睡眠を三日取れないことも日常茶飯事だ。
そんな栗原に、母校の医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば、休みも増え愛する妻と過ごす時間が増える。最先端の医療を学ぶこともできる。
だが、大学病院や大病院に「手遅れ」と見放された患者たちと、精一杯向き合う医者がいてもいいのではないか。
悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。
amazonから


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関連するタグ sing 【小説】 【文学】 夏川草介
文学 | 08:12:31 | トラックバック(0) | コメント(0)
【歴史】 『年表で読む日本近現代史』
『年表で読む日本近現代史』 『年表で読む日本近現代史』
   増補改訂版

   渡部昇一

   2009年

   海竜社

   ★★★★








<目次>
第1部 栄光と活力に満ちた独立近代国家・日本への道
第2部 大正デモクラシー期の日本を覆った国際情勢の暗雲
第3部 戦後日本の経済成長と"東京裁判コンプレックス"




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関連するタグ sing 【一般書】 【歴史/人物】 渡部昇一
歴史/人物 | 23:12:50 | トラックバック(0) | コメント(0)
【技術】 『ソフトウェア開発で伸びる人、伸びない人』
『ソフトウェア開発で伸びる人、伸びない人』
『ソフトウェア開発で伸びる人,伸びない人』


   荒井玲子

   2006年

   技術評論社

   ★★★★










<目次>
第一部 ソフトウェア開発で伸びる人、伸びない人
1. よくある疑問
2. ソフトウェア開発で伸びない人
3. ソフトウェア開発で伸びる人
4. これからのソフトウェア技術者
第二部 ソフトウェア開発で幸せになれる人、なれない人
5. ソフトウェア開発で幸せになれない人
6. ソフトウェア開発で幸せになれる人
7. 技術者としての幸せとは




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関連するタグ sing 【一般書】 【科学/技術/専門】 新井玲子
科学/技術/専門 | 23:19:17 | トラックバック(0) | コメント(0)
【思考法】 『佐藤可士和の超整理術』
「仕事とは、整理することである」


『佐藤可士和の超整理術』
佐藤可士和の超整理術』

   佐藤可士和

   2007年

   日本経済新聞出版社

   ★★★★









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思考法 | 00:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
【ミステリ】 『謎解きはディナーのあとで』
「お嬢様の目は節穴でございますか?」


『謎解きはディナーの後で』
『謎解きはディナーの後で』

   東川 篤哉

   2010年9月

   小学館

   ★★★★

   公式HP









<もくじ>
 第1話 殺人現場では靴をお脱ぎください
 第2話 殺しのワインはいかがでしょう
 第3話 綺麗な薔薇には殺意がございます
 第4話 花嫁は密室の中でございます
 第5話 二股にはお気をつけください
 第6話 死者からの伝言をどうぞ



最近、恐ろしいほどのペースで売れ続けているミステリを紹介します。2/5の王様のブランチでも特集されました。


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関連するタグ sing 【小説】 【推理/ミステリ】 東川篤哉
推理/ミステリ | 06:00:00 | トラックバック(1) | コメント(2)
【マンガ】 『天にひびき』
「あれほどの音楽に接して 何かせずにはいられないって…
 その気持ちだけは。」


『天にひびき』


   やまむらはじめ

   ヤングキングOURS 平成21年7月号より連載

   少年画報社

   ★★★★








<あらすじ>
新東響オーケストラは来月の公演に向けて練習の真っ最中。落ち目の指揮者を客演に迎え、練習は捗っていなかった。休憩時間の後なぜか戻ってこない指揮者にメンバーが苛立ち始めたとき、一人の見知らぬ少女が練習室に入ってきた。
楽団メンバーが訝しがる中、少女は当然のように指揮台に立ち、そして、腕を振り挙げた。

その瞬間、オーケストラが反応した。

メンバー達自身もなぜ演奏を始めてしまったのかわからない。
しかし、その少女の指揮の下、まだ練習中の交響曲の“完全な演奏”が始まった――



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関連するタグ sing 【その他】 【マンガ】 【文化/芸術】 【音楽】 やまむらはじめ
マンガ | 23:06:20 | トラックバック(0) | コメント(0)
【文学】 『風の歌を聴け』
僕たちは、そういう風にして、生きている


『風の歌を聴け』
『風の歌を聴け』

   村上春樹

   1979年

   講談社文庫

   ★★★











singの今年1冊目は、がっつり村上春樹です。映画『ノルウェイの森』がなかなか好調なようで、Otoyaもレビュー致しましたが、わたくしsingは天邪鬼なので、今では世界的作家となった著者のデビュー作です。
青春ものを選んだのは、別に成人式とは関係ありません。

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関連するタグ sing 【文芸書】 【文学】 村上春樹
文学 | 21:06:21 | トラックバック(0) | コメント(0)
【美術館】 『アンリ・ルソー パリの空の下で』
『アンリ・ルソー《エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望》』
『アンリ・ルソー
   パリの空の下で
   ルソーとその仲間たち』

   POLA美術館

   2010/9/11~2011/3/13

   wikipedia

   ★★★★




◇孤独な天才

アンリ・ルソーは19世紀フランスの画家。彼より少し前に生きたバビルゾン派のテオドール・ルソーと区別するため、税関職員だった経歴を持つため、「ル・ドゥアニエ(税関吏)ルソー」と呼ばれたりもします。
絵を見てわかる通り、なかなかに個性的な絵を描く画家です。主に「素朴派」と分類されるルソーですが、しかし私にはこの絵のどこが素朴なのか分かりませんでした。というか、「素朴派」って彼しかいないような…

その謎の解決のため、

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関連するタグ sing 【その他】 【イベント】 【文化/芸術】
イベント | 17:44:47 | トラックバック(0) | コメント(0)
【文学】 『マクベス』
「輝く光は深い闇よ、深い闇は輝く光よ」



『マクベス』
『マクベス』

   シェイクスピア

   1606年ごろ

   木下 順二 (訳)

   wikipedia

   ★★★




前から読んでみたかった古典を読みました。
『7人のシェイクスピア』なども始まり、私が個人的にこっそり盛り上がっているシェイクスピアです。
有名作品ですし、いろいろ驚きだったので、ネタバレありです。



◇あらすじ

舞台は11世紀のスコットランド。
武将マクベスは、魔女にそそのかされて、主人であり国王であるダンカンを殺害します。
しかし、野心は長く続きません。その後、マクベスは、同僚のマクダフに殺されてしまいます。



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関連するタグ sing 【文芸書】 【文学】 シェイクスピア
文学 | 23:08:50 | トラックバック(0) | コメント(0)
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