2011-03-26 Sat
価値とは何か、美とは?このマンガを読む限りでは、前者を「ビジネス」と置き換え、後者を「人生」と解釈できるかもしれません。
置かれた状況下でなんとか口を糊そうと糧を生みつつ、その苦労の上でアイデンティティを探ろうと足掻く。そういった生きることの辛さと意味を、こうもおもしろおかしく見せ付けてくれちゃうんだから、このマンガは本当にたまりません。

『へうげもの』
山田芳弘著,講談社,2005年12月~
現在『モーニング』にて連載中,単行本①~⑫服
★★★★★
第32回講談社漫画賞一般部門ノミネート
第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞
第14回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞
第1服~8服のレビューはこちら

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2011-01-31 Mon
「あれほどの音楽に接して 何かせずにはいられないって…その気持ちだけは。」

やまむらはじめ
ヤングキングOURS 平成21年7月号より連載
少年画報社
★★★★
<あらすじ>
新東響オーケストラは来月の公演に向けて練習の真っ最中。落ち目の指揮者を客演に迎え、練習は捗っていなかった。休憩時間の後なぜか戻ってこない指揮者にメンバーが苛立ち始めたとき、一人の見知らぬ少女が練習室に入ってきた。
楽団メンバーが訝しがる中、少女は当然のように指揮台に立ち、そして、腕を振り挙げた。
その瞬間、オーケストラが反応した。
メンバー達自身もなぜ演奏を始めてしまったのかわからない。
しかし、その少女の指揮の下、まだ練習中の交響曲の“完全な演奏”が始まった――

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2010-11-30 Tue
毎日という宝箱を、今日も開ける。
『よつばと!』
あずまきよひこ
アスキー・メディアワークス
最新 第10巻 2010年 11月 27日
★★★★★
ずっとレビューしたかったので、最新刊が発売されたのを機に感想を。
◇驚異的な「なにげない日常」
「嵐を呼ぶ5歳児」といえば一昔前はクレヨンしんちゃんでしたが、今一番熱いガキンチョは「よつば」です。
本作は、よつばの夏休みを描いています。ただそれだけです。
基本的に1話が1日分。大きなイベントがある日は複数話に分かれることもありますが、日を飛ばさずに連続した日々を描いています。
とにかく、ゆっくりと日常が流れていく作品です。

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2010-10-02 Sat
――小さな小さな彼らが去った跡には――
『Holy Brownie』
六道神士
連載
1996~1999年 『激漫』 ワニマガジン社
2001~2010年 『ヤングキングアワーズ』少年画報社
全6巻
★
<あらすじ>
朝になって……心優しい靴屋の老人が目覚めたときには――
小人たちのおかげで全ての仕事が終わっていたのです
そう…ピオラたちは本来そういう存在。
誰かの望みを知ってほんの少し流れを変えるだけ…
そして……
私の――今回の仕事は――
そして――
――小さな小さな彼らが去った跡には――
(Chapter X "ラ・ロンド・リュネール")

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2010-06-12 Sat
前回までの騙し絵ではないですが、完璧な構図のミステリを紹介します。
原作 城平京
作画 水野英多
1999年8月 ~ 2005年10月
「月刊少年ガンガン」にて連載
スクウェア・エニックス
★★★★★
〈あらすじ〉
絶対的な頭脳、運、カリスマ性をもち、20代で世界的ピアニスト、引退後は警官になり警視庁の名探偵と呼ばれる、神のごとき人間がいた。彼の名は鳴海清隆。
あるとき、清隆は失踪する。失踪直前に弟の歩に言い残した言葉は「ブレードチルドレンの謎を追う」。
そして清隆の失踪から2年が経過したある日、清隆の弟・歩(あゆむ)はある事件に巻き込まれるが、歩は推理で真相を暴く。
その直後、その犯人は「ブレードチルドレン」と口にした――
◇最強の武器“論理”
数年前の作品ですが、深いテーマと鋭い推理には何度読み返しても感服します。
水野英多氏の絵は個人的に好きなのですが、ここでは私の最も好きな作家、
城平京氏(以下、著者)の原作に焦点を当てて紹介します。

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2009-12-26 Sat
あなたにも、いと高き月の恩寵を――
"THE RECORD OF FALLEN VAMPIRE" 全9巻
作 城平京
画 木村有里
2004~2007年 月刊少年ガンガンで連載
スクエア・エニックス
★★★★★
<プロローグ>
かつて、ヴァンパイアの支配する夜の国があった。そこは、“赤バラ王”ローズレット・ストラウスの下、人間とヴァンパイアが共存して暮らす繁栄と平和の国だった。
あるとき、王妃アーデルハイトが魔力を暴走させ、世界は腐食に飲み込まれかける。王妃は封印され世界の崩壊は防がれたが、ヴァンパイアの一族は他国から迫害されることとなった。このとき赤バラ王は、自らの国と民を捨て、王妃を封印から救い出すための旅に出た。夜の国は崩壊し、同族と人間から追われることになった王の苦難の旅は現在も続いている――

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2009-07-02 Thu
武か数寄か、それが問題だ。
山田芳弘著,講談社,2005年12月~
現在『モーニング』にて連載中,単行本①~⑧服
★★★★★
さて、しばらく続いております乱世特集第5弾です。
戦国時代に覇を鳴らした豊臣秀吉について前回ご紹介しましたが、今回は同時代人の目を通し、乱世に育った文化「わび」について紹介したいと思います。
(これまでの乱世特集はこちらから)
本書は、信長や秀吉に使えた戦国時代の大名・古田織部正が主人公。
立身出世を目指しながら、茶の湯と物欲といった数寄を追い求めていきます。
この本の特徴はですねー、もう一言で言えば味。
こんな味のあるマンガは滅多に無いです。

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