2009-08-15 Sat
鈴木紀夫という人がいました。彼には夢がありました。「パンダ、雪男、そして小野田少尉に会いたい」
鈴木青年は24歳になり、小野田少尉に会うために単身フィリピン・ルバング島の密林へ入ります。
そしてそこで、“残置諜者”としてゲリラ戦を繰り広げる旧陸軍将校・小野田少尉に会うのです。
「射殺しようか迷ったが、妙な靴下を履いていたのが気になり、しばらく様子を見ることにした」
(小野田少尉)
鈴木青年の尽力の甲斐あり、ついにかつての上官である谷口元少佐から降伏命令を受け、小野田少尉は日本に帰国します。
それが昭和49年3月10日。
小野田少尉は終戦の後28年もの間、終戦を信じず、密林でゲリラ戦を続けていたのです。
小野田少尉の帰国は有名な事件だったので、ご存知の方も多いかもしれません。
本書は帰国から20年後、当時のことをあらためて振り返った小野田さんの手記です。
戦前から帰国20年までの軌跡が述べられており、サバイバル経験にも多く言及され、非常に読み応えのある一冊でした。

小野田寛郎、東京新聞出版局、1995年8月
★★★★★
・ブラジルの日々
・30年目の投降命令
・フィリピン戦線へ
・ルバング島での戦闘
・密林の「残置諜者」
・「救出」は米軍の謀略工作だ
・終戦28年目、小塚一等兵の“戦死”
・たった一人の任務遂行
・帰還、狂騒と虚脱と
・生きる

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