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【SF】 『僕たちの終末』
「これ以上ゴチャゴチャ抜かす奴は、出来もしないワープエンジンで宇宙の果てまで飛んでいっちまえ!」


『僕たちの終末』

   機本伸司

   ハルキ文庫

   2005年5月

   ★★★★










<あらすじ>
今より少し未来、太陽はその活動に異変をきたし、数十年後の“太陽暴風”による地球滅亡が判明した。
主人公・瀬河那由は、父の経営する小さな人材派遣会社に勤める20歳。ある日、太陽暴風から逃れるため民間の宇宙船建造&異星移民計画を知り、訝しみながらも発起人・神崎正に会う。話を聞くと、正の熱意は伝わったが、同時に計画実行力の無さも発覚した。
社長である那由の父は、普通なら笑い飛ばして然るべきところ、正に協力を申し出る。
こうして社員数4名の瀬河ライトスタッフ㈱の、恒星間有人飛行用宇宙船建造事業が始まった。





◇宇宙船を作ろう!

本書の大半は、現実に宇宙船を作ることの難しさについて説明しています。といっても、難しい話ではなく小学生でもわかる内容ばかりです。
例えば、空気食物重力船体エンジン燃料……
どれだけ高度な技術を使ったとしても、避けては通れない基本的な課題ばかりです。これらの課題について、真正面から取り組んでいます。

そうは言っても、やはり人が乗るもの。どんな宇宙船にするか、船内でどんな生活を送るか、船が故障した場合どうするか、数十年後に目的地に着いたとき何が必要か。さらにその先ののことまで考えて設計する必要があります。
こうなると、もはや"宇宙船という機械"だけ作ればいいわけではなく、船内に生命の揺り籠"地球"を作り出さなければならないわけです。
なんとも壮大で深遠なテーマですが、これこそが"科学の限界にSFの場を借りて挑戦する"という著者のテーマ(だと私は思ってます)。デビュー作で宇宙創造に取り組んだ著者ならではの視点ですね。

一番特徴的なのが、技術よりもさらに根底にある設計思想「ダメで元々」
普通の企業であれば、品質は「良くて当然」です。
しかし、今回は成功率100%をめざす余裕はありません。経済的・技術的な理由もありますが、最大の要因は地球の“終末”
滅亡する地球に残っても先はない。人類を存続させる可能性が1%でも上がるなら、それでいい。この無謀な計画を支える理念を“人類の発展性”にしたのは、ある意味でとてもリアルな終末の描写かもしれません。



◇目的地は“マクガフィン”

マクガフィンとは、物語の中で重要な役割を果たす小道具のうち、その役割さえ果たせれば具体的なモノは何でもいい、というようなものです。「なんか意味ありげに出てきたけど結局アレはなんだったんだ?」っていうアイテム、よくありますよね。
本作では、主人公達は(このコトバの意味を知らないまま)宇宙船の目的地の星の名前にしました。行き先は(人間が住めるなら)どこでもいいわけですね。というより「宇宙船を作ること」が目的になりかけているプロジェクトを揶揄しての命名でしょうか。

計画の目的は別の恒星系への移住ですが、やはり一番重要なのは宇宙船の建造。宇宙船を作ることにページの大半を使っています。前半は「あれはダメ」「これはムリ」という議論ばかりで、正直読んでいて「やっぱり出来ないのかな…」と気持ちが萎えてきました。
しかし、発案者にして計画の主宰・神崎正の記者会見で、一気にワクワク感が盛り上がり、物語は急激に動き始めます。そこから物語の勢いは止まりません。宇宙船建造過程を省くほどにw



◇宇宙船まで作って何がしたいの?

主人公やその周辺に、技術に疎い人を多く(そして少数精鋭の技術者)を配置しているため、少しでも難しい話になると主人公が暴れ出しますw
技術や論理のアイデアよりも"それを使って何をしたいか"を描くことに重点を置いているため、技術的な話が続いても、とても読みやすかったです。

正は地球脱出とは別の裏目的を持っていますが、さらにその先にある“真の目的”も秘めています。この目的を達成することを目指すと、最終的には技術ではなく「人間とは何か?」つまり「自分とは何か?」が問われることになります。
これは著者の作品に共通するテーマであり、宇宙船に限らず常に私たちに突き付けられている問いでもあります。
普段はほぼ無意識ですが、「何か行動を起こすときに自分はそこまで考えているだろうか?」と思い返すきっかけを著者は与えてくれています。それをわかりやすくするため、"終末"をテーマに掲げることで、そこから人間のあり方、科学との付き合い方など、いろいろなものが見えてくる、という狙いですね。

本作の結末は、同じ場面に遭遇したとしても、人によって結末は全く違うものになるでしょう。上記のような考えを突き詰めていった著者なりの一つの回答を読んで、自分ならどうする想像してみるのもいいかもしれません。



◇機本伸司のデビュー作『神様のパズル』のレビューもどうぞ。


** 著者紹介 **
機本 伸司(きもと しんじ)
1956年、兵庫県宝塚市出身。甲南大学理学部卒。出版社、映像製作会社を経て、1993年フリーのPR映画ディレクターに。代表作『神様のパズル』『メシアの処方箋』。本作は第3作目。


** この作品を紹介しているサイトさん **
・「猫は勘定にいれません」さん
・「日々雑感II」さん
・「S.S.S. blog」さん

sing

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌

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SF | 23:05:10 | トラックバック(0) | コメント(0)
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