■レビュージャンル
■テーマ別記事リンク
■管理人プロフィール

Otoya sing です.
地震の影響はありませんでした.
通常運営してまいります.

■最新記事
■カウンタ


当サイトではきれいなお姉さんを
全面的に支持します

■最新コメント
■最新トラックバック
■月別アーカイブ
■検索フォーム

■RSSリンクの表示
■QRコード

QR


ラ・フォル・ジュルネ
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


関連するタグ
スポンサー広告 | --:--:--
【マンガ】 『ヴァンパイア十字界』
あなたにも、いと高き月の恩寵を――

『ヴァンパイア十字界』
  "THE RECORD OF FALLEN VAMPIRE"   全9巻

 作 城平京
 画 木村有里

 2004~2007年 月刊少年ガンガンで連載

 スクエア・エニックス

 ★★★★★





<プロローグ>
かつて、ヴァンパイアの支配する夜の国があった。そこは、“赤バラ王”ローズレット・ストラウスの下、人間とヴァンパイアが共存して暮らす繁栄と平和の国だった。
あるとき、王妃アーデルハイトが魔力を暴走させ、世界は腐食に飲み込まれかける。王妃は封印され世界の崩壊は防がれたが、ヴァンパイアの一族は他国から迫害されることとなった。このとき赤バラ王は、自らの国と民を捨て、王妃を封印から救い出すための旅に出た。夜の国は崩壊し、同族と人間から追われることになった王の苦難の旅は現在も続いている――





◇1000年にわたる苦難の歴史

まず戦いの構図を理解するのが一苦労。三者が互いに敵対しています。

 ・ローズレット・ストラウス … 純血のヴァンパイア。夜の国の最後の王。
        剣術・魔力・頭脳ともに最強。
 ・ダムピール … 人間とヴァンパイアの混血種族の一般名詞。かつての夜の国の民で、
        現在の指導者は赤バラの娘ブリジット。
 ・ブラックスワン … 霊的な寄生体。それに憑かれた人間はヴァンパイアの根絶を
        目指して行動する。書籍画像の和服の少女。

1000年以上も戦いを続けていた三者ですが、第50代ブラックスワン比良坂花雪の時、異変が訪れます。
 一つは、ブラックスワンの代々成長する力が、赤バラ王の力を上回ったこと。もう一つは、ブラックスワンが、天敵のはずの赤バラ王に味方をしたこと。
このことで三者のパワーバランスが崩れます。さらに異星人が地球に攻めてくる。もうグッチャグチャです。

そして、そこで赤バラ王が計略を張り巡らせ、解決に向かうわけです。さて何のための計略か。解決とはどんな状況のことか。
かなり複雑ですが、もちろん作中ではわかりやすく描かれています。

本作のトリックの根底に流れるルールは、二つあると思います。

 (1)「共通の外敵が現れると、互いに争っていた者同士が手を結ぶ」  フリーザの出現によるベジータと悟空の共戦がいい例ですね。孫子の「呉越同舟」も同じ意味です。

 (2)「情報を持つ者の優位性」  情報を持つ者は、その情報を伏せることができ、いつ公開するかを決めることができます。戦略的にこれを行った場合の影響について、本作では何度も描かれています。

一見すると少年誌によくあるような魔力霊力を使っているファンタジーですが、深慮遠謀の高度な頭脳戦が痛快で、かつなかなかどうして政治や戦略の良い参考書になるものであると思います。



◇誰もが正しくて、誰もが傷だらけで。

赤バラ王は矛盾だらけの行動をとり続けます。女王を救い出すために、夜の国を再建して組織的に取り組むのではなく、一人きりの旅を続けることを選びました。また、自らの娘ブリジットに謝罪する気持ちがありながら、その本人たち(ダムピール)と戦いを続けています。

赤バラ王の目的は少しずつ明かされる過去により二転三転します。最後の真相は、何重にも隠されていますが、本当に悲しく、本当に美しいものです。その“想い”は海のように深く、月のように高いため、そこから生じる行動だけ追っていては真意はとても理解できません。
あまりの悲劇に、感情移入しすぎると私の心ではとても耐えられないので、何十回も読み直しました。

しかし、本作の本質は、高度な頭脳戦でも過去の悲劇でもありません。
これは“真実の想い”を貫いた赤バラ王の悲しくも美しい物語です。

本作には多くのキャラクターが登場しますが、単純な善悪で割り切れる人物は一人もいないのです。それぞれが自分の役割を全うしようとしています。しかし、その結果がとんでもない悲劇になってしまいます。

このやり場のない感情と複雑を極めた状況は、赤バラ王の"政治"と恋人ステラの温かな魂に導かれて、物語が完結します。
ストーリーの複雑さは現実の近代史あたりとも似通ったところがありますが(特にそれぞれの思惑と戦略が交錯するところはかなりリアル)、ラストには強固な信念と愛に満ちた"本当の想い"を見ることができます。



◇とてもうつくしい たましいのはなし

本作の真相やラストシーンはエドモン・ロスタンの古典戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』を意識して描かれています。私は本作あとがきで紹介されていたので知り、読みましたがこれも名作です(後日レビューします)。
他にも有名なSFやミステリーを、ストーリーや1話ごとのタイトルの元ネタにしているなど、著者の古典作品に対する深い知識に驚かされます。きっと著者の本棚には東京創元社の文庫が並んでいることでしょう。
しかし背景知識だけでなく、それを複雑なストーリーに絡めている著者の構成力はさすがといったところです。

著者は私の最も好きなミステリー作家ですが、出だしがいつも不思議なほど奇抜なんです。その壁さえ乗り越えれば、「最初のアレは何だったんだ」というくらい面白くなるのですが、この壁が読者層を減らしている気がしてなりません。
木村有里さんの絵柄は賛否両論のようですが、私はとても綺麗な絵だと思うので気に入っています。

私が人に本作を勧めるとき必ず言うのですが、騙されたと思って1巻で終わらずぜひ3巻まで読んでほしいと思います。
ちなみに私は何十回読み直したかわからないくらい読み込みました。文句なく★5ツ評価です。



** 著者紹介 **
城平 京(しろだいら・きょう)
1974年6月15日、奈良県生まれ。大阪市立大学卒業。大学在学中にサークルで執筆を始める。ミステリーに目覚めてからは、月50冊ものミステリーを読み分析したことで、SFやファンタジーにも造詣が深い。独特のギャグセンスが著作の随所に光る。代表作『名探偵に薔薇を』、『スパイラル~推理の絆~』、『スパイラル・アライヴ』他。


木村 有里(きむら・ゆり)
新人の漫画家。本作がデビュー作。はてな


** この作品を紹介しているサイトさん **
・「きょうのダメ日記」さん
・「シンさんの偽哲学の小部屋」さん
・「360度の方針転換」さん
・「骨車の徒然日記(仮) 」さん
・「the Kingdom of Half Blood」さん
・「The Key of Midnight」さん
・「まいじゃー推進委員会!」さん
・「サブカル・カムカム」さん

sing

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌

関連するタグ sing 【マンガ】 【推理/ミステリ】 【SF】 【ファンタジー】 【文学】 【社会/政治】 ★★★★★ 城平京
マンガ | 22:04:32 | トラックバック(1) | コメント(0)
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

ヴァンパイア十字界1巻 城平京・木村有里
 滅びたヴァンパイア国の王ローズレッド・ストラウスは封印された妃アーデルハイトを探し求めて千年の放浪を続ける。追撃するは、人とヴァンパイアの混血ダムピール、そして禁呪が生んだ少女ブラック・スワン――物語はおおよそこのような前提で進んでいく。  この設定...
2009-12-30 Wed 11:53:43 | 360度の方針転換

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。