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【文学】『夜は短し歩けよ乙女』
「乙女には幸福を、男には試練を!」


夜は短し歩けよ乙女

 『夜は短し歩けよ乙女』

    森見登美彦

   2006年11月、角川書店
   (2008年12月、角川文庫)


  第20回 山本周五郎賞
  第137回 直木賞候補
  2007年 本屋大賞 第2位
  ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2007 第1位

 ★★★★






舞台は現代京都、祇園に程近い高級料亭が立ち並ぶ狭い路地、先斗町(ぽんとちょう)
そこに迷い込んだ女の子と、彼女に一目惚れした大学生が体験した不思議な物語。

イマドキの大学生の妄想と欲望が、さも爽やかな青春であるかのようにテンポよく展開する、
恋愛ファンタジーです。



物語は、“唾棄すべき青春”を無為に送る平凡な大学生の主人公「私」と、主人公が一目惚れしたサークルの後輩「彼女」の、交互に入れ替わる2人の視点から語られます。

まず、「彼女」の自由にのびのびと歩きまわる様が、良いですね。
一目惚れした彼女の目になんとか留まろうとする主人公の努力も空しく、不自然に多すぎる“偶然の出逢い”を彼女は全く疑問に思わず、いつも気の向くまま歩き回ります。
著者曰く「私のかわいい要素を絞り出して生まれた作品」だそうです。

主人公も、壮大な妄想、無駄に高いプライド、ヘタレな行動、他人から見ればどうでもいい意地が、青春真っ最中って感じです。
脳内自分会議は今でもやりますが。
主人公が自身に向けた言葉「恥を知れ! しかるのち死ね!」は名言ですね。



彼女はただ歩いているだけなのに、主人公がどれだけ走っても彼女に追いつけません。
それは、個性的なキャラクターが多数登場し、次から次へと不思議な出来事が起こるから。
そのどさくさに巻き込まれ、絶妙なタイミングですれ違う2人を見るたびに、思わず応援したくなります。
同時に、「乙女には幸福を、男には試練を!」(著者)のフレーズがアタマの中で繰り返されもしますが。



古典文学が好きな著者だけあり古風な文体ですが、それでいて斬新で独特。
幅広い分野の作品から引用された教養溢れる言い回しや、実際の地名をうまく組み入れた文章は、全編に渡って“京都感”を醸し出しており、気持ち良く読み進められます。
下鴨神社、四条河原、百万遍交差点など京都の地名が多数登場し、まるで自分も京都を歩いているかのような感覚にさせてくれます。

他にも、例えば、タイトルは「命短し、恋せよ少女」からとったものです。
意外と知られていませんが、これは大正時代の流行歌「ゴンドラの歌」の一節です。


また、現実とファンタジーを織り交ぜた“マジック・レアリズム”の手法を使っているのもおもしろいですね。
「偽電気ブラン」の飲み比べをしたり(「電気ブラン」は浅草の神谷バーで飲めるウヰスキー)、古本市の神様が粋な悪戯をしたり。
特に第4章の竜巻に巻き上げられ空を飛んでいるシーンでは、(見たこともないのに)上空からの京都がありありと目に浮かびます。




最後に各章のあらすじを簡単に。

1.夜は短し歩けよ乙女
先斗町界隈での不思議な一夜。幻の名酒を求めて夜の京都を歩き回った彼女の物語。
あんな狭い道に李白さんの車が入るわけない、とか言ってはいけません(笑)

2.深海魚たち
古本市で彼女が絵本を探していると知った主人公は、もちろん古本市に向かいます。
そんな中、会場の下鴨神社で、好きな本を1冊だけもらえる闇イベントが開催されることになり、主人公も参戦することに。
作家と文学作品の羅列し、その全てのつながりを語り1つの輪にするシーンは圧巻。

3.御都合主義者かく語りき
秋といえば学園祭。ここでも主人公は彼女を探しまわります。
神出鬼没の連続ゲリラ演劇「偏屈王」、移動しながら鍋をつつく「韋駄天コタツ」、ある願掛けが達成されるまで下着を取り替えない「パンツ総番長」、ただ象の尻が展示してあるだけの「象の尻」、そして主人公と彼女。
登場する主要なイベント・人物すべてが1点に収束するラストは感動します。
私は第3章が一番気に入りました。
「偏屈王」を実際にやる大学はないのでしょうか?

4.魔風邪恋風邪
京都で風邪が大流行する中、なぜか元気な彼女は皆のお見舞いに大忙し。
それを知った主人公は自分も風邪を引き、彼女に見舞いに来てもらおうとします。



乙女の真剣で天真爛漫な行動と、主人公の情けなくも共感できる苦悩と努力が、著者独特の文体でのびのびと綴られた、新しい時代の“文学”です。



** 著者紹介 **

森見登美彦
1979年、奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。デビュー作『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞受賞。代表作『有頂天家族』『〈新釈〉走れメロス 他四篇』『美女と竹林』他。見た目からして明治大正の作家っぽい(笑)。公式ブログ『この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ』において、2009年1月に「独身貴族を引責辞任する」という結婚報告を行い話題になった(おめでとうございます)。


中村佑介(表紙イラスト)
1978年、兵庫県出身。 ノスタルジックで独特な絵柄で人気のイラストレーター。ASIAN KUNG-FU GENERATIONやつじあやののCDジャケットをはじめ、赤川次郎、石田衣良などの書籍カバーなども数多く手掛ける。S▲ILS(セイルズ)としてバンド活動も行っている。


sing



*追記*
「謎の男の小説感想部屋」さん、トラックバックありがとうございます。
漫画第4巻発売に続き、舞台化も決定したそうです。楽しみですね。

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌

関連するタグ sing 【小説】 【文学】 【ファンタジー】 【京都】 森見登美彦 【文芸書】
文学 | 23:18:26 | トラックバック(1) | コメント(0)
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