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【文学】 『青年のための読書クラブ』
「神など、おらぬ。
 悪魔も、おらぬ。
 諸君、世界は南瓜の如く、空っぽなのである!」
                         『哲学的福音南瓜書』



 『青年のための読書クラブ』
   St.Mariana Girls' High School The Reading Club For The Youth

   桜庭 一樹

   2007年 6月

   新潮社

   ★★★★★


   漫画版
    作画 タカハシマコ
    2008年5月8日よりYahoo!コミック内『FlexComixフレア』にて連載中




<あらすじ>
聖マリアナ学園は、東京山の手の一等地にある伝統的な女学校。入学者の大半は良家の令嬢。皆、清楚で礼儀正しく、華やかで才気に溢れる己自身に磨きをかけるべく、毎日を勤勉に過ごしている。
そんな聖マリアナ学園の旧校舎の裏の、雑木林のそのまた裏の、崩れかけた赤煉瓦ビルの3階に、読書クラブはある。
読書クラブには、いわゆる「お嬢様気質」に性の合わない学生が自然と集まるのが、毎年のことだった。
そんな読書クラブでは、部長に任命された部員がクラブ誌を記すことになっていた。それは、学園で起きた、しかし表向きはなかった事にされた事件を記録する、学園の黒歴史。門外不出、秘密のクラブ誌である――




◇君は文学を読んでいるか?

本作は、過去の名作を元にしたストーリー5本から構成されている連作短編集です。それぞれの元になった作品を挙げると以下の通り。

 第一章 烏丸紅子恋愛事件
   『シラノ・ド・ベルジュラック』 エドモン・ロスタン
 第二章 聖女マリアナ消失事件
   『哲学的福音南瓜書』 (架空の作品)
 第三章 奇妙な旅人
   『マクベス』 シェイクスピア
 第四章 一番星
   『緋文字』 ホーソン
 第五章 ハビトゥス&プラティーク
   『紅はこべ』 バロネス・オルツィ

もちろん元ネタのシチュエーションが全て女学校なわけないのですが、それぞれの構図と大まかなストーリーはしっかりと踏襲しています。こうした文学史のつながりを楽しむことは、読書の醍醐味の1つですよね。本の知識が深ければ深いほど面白くなる作品だと思います。
過去の名作に振り回される事無く、それどころか自在に自分の物語に織り込む技法は見事です。

本当は1章ずつ、いちいち比較して説明したいところです。まぁそれだけでこのブログを1ヶ月占領出来てしまうのでやりませんが。
ただ、私も元ネタを全て読んだわけではありませんが、本書を読んで(上記の文学的な意味で)1つもニヤリとする箇所がなかったとしたら、その人は「趣味 読書」と名乗るのはどうなんだろう、と思ってしまいました。

「女の子」の描写に定評のある桜庭一樹ですが、今回は「王子様」を通して「女の子たち」を描いています。これまではエロい作品だけかと思っていましたが、これは認識を改めねば。



◇"烏丸紅子"の裏には…

私の愛読書の1つに、『シラノ・ド・ベルジュラック』があります。実は、私が本作を読もうと思ったのも、本作品の第1章の元ネタになっていると知ったからです。
本作での『シラノ』もまた、"恋愛の殉教者"として、見事に新しい文学を築き上げています。

歴史物では参謀が好きな私は、当然のごとくシラノがお気に入りなのですが、本作でもその精神がしっかりと引き継がれています。シラノは満足しているが、実は救われていないところまで同じ。
ここまで正確になぞるとは驚きました。

しかも第五章 ハビトゥス&プラティーク にも、第1章の"あの人物"が登場し、伊坂幸太郎のような作品間の(本書では短編間の)繋がりが楽しめます。

これまでも本ブログにちょくちょく登場してきた『シラノ・ド・ベルジュラック』については、これまで説明を省いてきましたが(すみません)、近いうちにレビューする予定です。★5ツのオススメ作品です。お楽しみに。



◇読書クラブは学園と共に

静かに紅茶を飲みながらお気に入りの本のページをめくることだけが望みの読書クラブ員は、学園に事件が起きると、なぜか毎回巻き込まれていきます。事件と言っても警察に関係するようなものではなく、だから名探偵が現れることもありません。しかし、なぜか読書クラブは事件に関係してきます。というより、事件の方から読書クラブに近づいてくる、といった方が正しいかもしれません。

たとえば新人に主役を奪われた女優が新人の靴に画鋲を入れるような、いわゆる少女趣味は少し読みづらいかもしれません。本作では画鋲ではなく卵焼きでしたが。

読書クラブは、事件が集結した後に読書クラブ誌を残します。
"面白い事件"の起きた年だけ、数十年おきに抜粋されているので、5つのエピソードで登場人物は重なりませんが、学園の伝統、読書クラブのスタンスなどは保たれていて、独特の雰囲気を醸し出しています。

そのある5つの事件についての抜粋が、本書『青年のための読書クラブ』というわけです。
だから、それぞれの年代のクラブ員のうち「誰が」クラブ誌を書いたか、ということも気にして読むと面白いかもしれませんす。執筆担当者は、それぞれのエピソードの最後の署名で明らかになりますが、ふさわしい小さな驚きが用意されています。

不思議な雰囲気の中、100年に及ぶ学園の"真実"を追いながら、【文学】に浸る楽しみを教えてくれる1冊です。
未読の元ネタは、今後の読書の楽しみにしたいと思います。



** 著者紹介 **
桜庭 一樹(さくらば・かずき)
1999年デビュー。2003年開始の『GOSICK』シリーズで多くの読者を獲得し、翌年の『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が高く評価される。2007年、『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞を受賞。著書は他に『少女には向かない職業』『少女七竈と七人の可愛そうな大人』など多数
(本書カバーより引用)

** この作品を紹介しているサイトさん **
・「NO BOOKS NO LIFE -読書の時間―」さん
・「蓮に鷺」さん
・「天竺堂通信」さん
・「ふるちんの「頭の中は魑魅魍魎」」さん
・「わなびざうるす」さん
・「やぶにらみの鳩時計」さん
・「日々の記録」さん
・「黒夜行」さん

sing

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関連するタグ sing 【文芸書】 【小説】 【文学】 桜庭一樹 ★★★★★
文学 | 10:03:26 | トラックバック(0) | コメント(0)
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