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【社会】 『県民性』
◎たとえば関東なら……

群馬に行ったことのない人でも、「上州名物、カカァ天下にカラッ風」ということばだけならよく知っている。

埼玉を称して、サツマイモのようだといった人があるそうだ。あのサツマイモのはっきりしない味わいと、地味な特性のない存在とが埼玉ににているということであるらしい。

甲斐の国という名称はもともと山峡の峡(カイ)からきた。山と山の間と言う意味である。(中略)こうした貧しい山峡に閉じ込められ、つよい圧制の下で、人々はすぐれた民政家である信玄への渇望の念を、おさえようもなく募らせていたのである。かくて重なり合う山々とひとりの英雄のイメージとが、現在の甲州人気質を次第に作り上げていったのである。


◎たとえば四国なら……

四国にこんな小噺があるという。もし思いがけない金が千円入ったら、

愛媛「これはよかった、この金でなにか買ってかえろう」
香川「いや、まことにありがたい、これはそのまんま貯金しよう」
徳島「おお、こりゃええモトデができた、この金を何倍かに殖やして貯金しよう」
高知「こりゃもうけたよ、さっそく祝盃じゃ、きれいに飲んでしまおう」


(以上、本書の記載より)



このお盆に、実家に帰省している方も多いでしょう。
心洗われる田舎ではありますが、実はそんな田舎も千差万別。


47都道府県民、その特徴が言えますか?



県民性 『県民性 ―文化人類学的考察―
 
 祖父江孝男著,中公新書,1971年10月
 ★★★★★

 <目次>
 Ⅰ.現代日本に生きる県民性
   県民性をどう考えるか、県人会にみられる県民性の特色、
   ノイローゼの発生率に見られる県民性、
   文章完成法テストの結果に現れた県民性、
   意外な面に現れた県民性

 Ⅱ.県民性はどう作られるか?
   県民性・国民性などを形成する因子、
   社会構造の地域差、

 Ⅲ.県民性を診断する
   みちのくの性格、東国の人びと、北陸四県を考える、
   中部日本の分析、歴史で磨かれた近畿地方、
   変動の歴史をくぐった中国地方、四国四県を比較する、
   九州人、新しい革袋のなかの日本人





========


◎「県民性」はあるのか?

本書のタイトル、ズバリ「県民性」
だけどホントに県民性ってあるのか? と疑問に思う人もいるのでは。血液型で性格見るのと同じで、「●●県の人はすべからくこの性格」って言えることってあんまりない気も。

本書では文化人類学者の雄である著者が、ゼミの学生と共に各地を回り、実地調査を重ね、ルールシャッハテスト文章完成法テスト、TATテストなどの心理学的手法、県人会などの各統計、そして歴史的背景から、「県民性」はあるのか、「県民性」はなぜ作られたのかを考察します。
第3章で各都道府県の県民性とその成り立ちが述べられていますが、ここでは例えばということで、著者も紙幅を割いている群馬県の県民性について簡単に紹介したいと思います。



◎上州名物、カカァ天下にカラッ風

・熱しやすくさめやすい、飽きっぽい
・鼻息は荒いが案外見栄坊で、おだてにのりやすい
・義理人情にあつい


これが、読売新聞前橋支局の調べた群馬県民の性格。
なぜ群馬県民がこういう性格であるかについて、著者は以下のように説明を試みます。

 ①江戸後期に群馬の蚕糸・織物業が急激に台頭し、現金経済が活発化した
   →宵越しの金を使わぬ気前よさ、投機的精神、明朗・淡白な性格の発達
 ②三百を超える小藩・天領に分割された政治体制下のため、伝統文化が育たなかった
 ③江戸に近く、江戸の亜流に終始した文化ゆえ、新しいものにはすぐ飛びつく


たとえばセールスのコツに「新製品はまず群馬に売って売れるか確かめろ」という言葉あるそうです。また飽きっぽい性格に対しては、戦前「高崎連隊は攻撃には強いが守備にはいたって弱い」言われたことも。
いずれも①~③の仮説を裏付ける風説。


また著者は、「上州無宿」と呼ばれる渡世人文化、すなわちヤクザについても考察します。
著者が考える群馬にヤクザが多くなった原因は次の通り。

 ①上記の通り、経済的な発達と淡白で気前のよい性格が発達した
 ②闘争の成功による反骨精神の醸成
   →小藩分立のため支配者の権力が弱く、上州は百姓一揆の成功率が全国的にも高かった
 ③交通路の発達(宿場町の発達)と、温泉などの遊山地が発達した
 ④戦国時代の争乱の経験から、武士以外にも道場が開かれ各地の若者が剣を持った


いやー僕はヤンキーといえば茨城だと思ってたんですけど、群馬もなかなか。
そして最後に著者は、群馬名物とまで言われる「カカァ天下」が生じた理由について説明します。

 ①蚕子産業の主力は女性であり、女性の経済的独立性が高かったから
 ②ヤクザのにおける「姉御」の姿が他県者に強烈に映ったから


なるほどという感じ。ちなみに海女さんの多い土佐などでも、女性が経済的に力を持つことにより、女性優位の文化が築かれている例があるそうです。
なお群馬は男子校が多いことでも有名ですが、これは「共学などもってのほか」という古い考え方が強く、戦後の教育改革の際に男女共学を普及させることに失敗したからだそうです。


ぷりぷり県
      ※本書の内容とは特に関係はありません




◎形作られる文化と、見えてくる境界

と、上記のようなスタイルで群馬以外の各県についても考察を進める著者なのですが、経済や歴史的支配体制が人の性格を作り上げていくという仮説はおもしろいですね。
本書は維新から80年後の著作ではありますが、日本が300の小国に分裂していた旧幕時代の影響は根強かったようで、殿様がどのような為政したのか(しなかったのか)、どのような産業が奨励されたのかが、ダイレクトに明治以後のその土地の職制を決め、そして現代まで色濃くその影響を残しているようです。
また、畑作か稲作かなど、古代からの各地域の文化や風土、社会構造の影響にも触れています。

少し話はそれますが、文化と違いとして興味深いのが、東西の違い。
著者の調査によれば、日本はある線をはさんで東西に明確な文化の違い(それもルーツの違いに起因)があるそうです。これは方言、土器、風習、性格、「徒然草」の記録、社会構造などからわかるのですが、平安鎌倉時代の歌人・藤原定家が遺した日記『明月記』からも読み取れます。(小説になりますが司馬遼太郎の『義経』なんかも)
日本史が東西の政権争いだったことも思い起こすと、おもしろいですね。

他にも本書では、軍における各隊(各隊は出身地域ごとに編成されていた)の性格からみた分析や、エジコと呼ばれる東北の特殊な風俗(親が農作業中、子供を家の柱などに縛り付けておく)など、多面的な考察がされているのがおもしろいです。
特に軍隊における各県の性格形成については、「他隊に性格を指摘されることにより自らもそうだと思い込む」というフィードバックの影響の指摘も見逃せません。

ぷりぷり県2
      ※本書の内容とは特に関係はありません



◎本書が書かれたのは1971年

本書が書かれた時代ですら、県民性(地域性)は急速に失われていたそうです。
それから40年が経過した現在、一億総中流化の過程を経、交通網の発達により時間距離が圧縮され、インターネットによる文化の希釈が行われたことにより、もはや本書のような県民性をいうことはできないでしょう
それでも、まだ県民性が残されていた頃のルーツを知ることには大きな意味があると思います。
例えば世界に目を向けてみるとき、各国の国民性の違いを知るための思考法という点でも貴重な参考資料になるのではないでしょうか。各県ですらこれだけの違いがあったのです。世界視野では、もっとダイナミックな性格のルーツが見えてくるのは間違いありません。

そして1000年後には、今県民性が失われつつあるように、国民性も失われて世界が、少なくとも地域差によっては区別できない時代が来るかもしれませんね。



** 著者紹介 **
祖父江孝男(そふえ たかお)1926~
1949年東京大学理学部人類学科卒、その後米国ハーバード大学大学院に学び、ノースウェスタン大学、ハワイ大学、ウィスコンシン大学各客員教授、命じ大学教授、国立民族学博物館教授ほか歴任。
文化人類学の視点から多数の著作を有する。



** 県民性に関する本を紹介しているサイトさん **
「県民性情報」さん
  →本書を参考に、各県民の性格を一言でまとめられています
「TERRAZINE」さん
「あんな・こんな・独り言」さん

** 県民性診断 **
「ウラ県民性診断」(yahoo!縁結び)
 →Otoyaのウラ県民性は「神奈川県」でした…
「県民性ワールド 」さん


** 県民性と言えばコレ **
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社会/政治 | 00:53:48 | トラックバック(0) | コメント(0)
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