■レビュージャンル
■テーマ別記事リンク
■管理人プロフィール

Otoya sing です.
地震の影響はありませんでした.
通常運営してまいります.

■最新記事
■カウンタ


当サイトではきれいなお姉さんを
全面的に支持します

■最新コメント
■最新トラックバック
■月別アーカイブ
■検索フォーム

■RSSリンクの表示
■QRコード

QR


ラ・フォル・ジュルネ
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


関連するタグ
スポンサー広告 | --:--:--
【文学】 『船に乗れ!』 (2/2 物語編)

『船に乗れ!』
   藤谷 治



2010年本屋大賞 第7位です。いま流行りの青春音楽小説です。
感想は、音楽編と物語編の2回に分けて書いていきます。
ネタバレありです。






◇完全な世界に近づくために

哲学と音楽と人間。
ローマ帝国時代からの奥深いテーマを統括する概念が、本作でも大きなウェイトを占めています。

小中学生の頃からニーチェを読むなんて、かわいくないにも程がある主人公ですが、それでも嫌味に感じないのは、語りが大人になった主人公だからでしょうか。
主人公は、人生を豊かにする考え方を身につけようとしたために、かえって苦しむことになります。

金窪先生事件は、主人公の気持ちは理解できなくもないですが、同情の余地はない出来事です。
最も印象的だったのは、その後、金窪先生の家に尋ねていったときの先生のコトバです。
許されるはずないですよね、ほんとに。



◇「人間にはどうしようもないもの」

主人公サトルと南枝里子は、なんていうか、もうズタボロですね。二人とも。

読みながら、いえ、読んだ後もずっと気になっていたことがあります。
主人公がここまでの悲劇にあわなければならなかったのはなぜか。
他のキャラクタはなぜあのような行動(事態の流れに対処することではなく、その後どういう始末を付けようとしたか)をとったのか。

私が思うに、著者は、人間一人一人の生きる力を書きたかったのではないでしょうか。それは人の意志が大きく関わりますが、決してそれだけではない。簡単に運命というと陳腐な感じですが、「人間にはどうしようもないもの」も含めて、人間の力ということを言いたかったのではないでしょうか?



◇人間と共にある音楽、音楽と共にある人間

「人間にはどうしようもないもの」に翻弄され、どん底まで落ちた主人公は音楽を続けられなくなるほどに"壊れ"ます。
音楽は人間を助けもしないし、かといって見捨てもしない。ただ人間のすぐそばにあるだけ。
しかし、近づこうとすればするほど、本作ではそういう行動をとった人ほど音楽から遠ざかってしまいました。


何かを目指すときに、「自分は何を考え、どのように行動するか」をはっきりさせないと、目的を見失うことになります。それをいつ考えるかは個人・状況により違いはあるでしょうが、必ず直面する問題です。
私は、主人公は最後までこれを考えなかった(考えられなかった)のではないかと思っています。だから音楽を続けられなくなった。単純に「だから」というのは語弊があるかもしれませんが。
一方、南は考えて、幕の引き方まで考えて、去った。ラストの『ブランデンブルク協奏曲』は奇跡的にうまくいっただけの綱渡りでしたが、南は自分で"閉じた"のでまだ救いがある。だから状況的に音楽が続けられなくなっても、エピローグにあるように趣味だとしても楽器を再開できた。
その意味では、その問題をどこまで真剣に考えたかどうかが重要で、乗り越えられるかどうかはあまり重要ではないのかもしれません。


ストーリーの面白さ、展開の驚きに加え、心の奥底にまで突き刺さる感動を与えてくれる、青春音楽小説を代表する、といっても過言ではありません。本屋大賞1位でもおかしくない名作です。(と書いた後で、1位を読んだら、さすがに言い過ぎでした…)



** 著者紹介 **
藤谷 治(ふじたに おさむ)
1963年東京都生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。03年に『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』でデビュー。『いつか棺桶はやってくる』が三島賞候補に。下北沢で書店『フィクショネス』を経営しながら執筆活動中。
(公式HPより引用)

** この作品を紹介しているサイトさん **
・「ふるちんの「頭の中は魑魅魍魎」」さん
・「」さん
・「」さん

sing

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌

関連するタグ sing 【小説】 【文化/芸術】 【音楽】 藤谷治 【文芸書】
文学 | 12:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。