2010-11-01 Mon
「兄貴、妹(あいつ)は本気だよ。俺たちの仇の息子に惚れてるよ」
『流星の絆』
東野 圭吾
2008年 3月 5日
講談社
2009年 本屋大賞 第9位
★★★

<あらすじ>
神奈川県・横須賀市にある洋食屋「アリアケ」の子供である功一、泰輔、静奈。家を抜け出し流星群を見に行ったとある夜中、その間に3人の両親が何者かに刃物で殺害された。彼らは身よりもなく、養護施設で幼少期を過ごした後、相次いで詐欺などにあったことから、強く生きるためにいつしか自らも詐欺を働くようになり、金を持っている男達を騙していく。
事件から14年が経ち、時効を迎えようとしていた折、洋食チェーンの御曹司である戸神行成をターゲットにした3人は、彼の父親・政行が両親が惨殺された時間に家から出てきた人物に似ていることに気付く。
何年も前のミステリでドラマ化までされた作品ですが、最近初めて読んだので、軽めに。
ネタバレありです!
◇ハヤシライス
料理の味が事件の真相に辿り着くきっかけになる、というアイデアは結構好きですね。
静奈が始めて戸神亭のハヤシライスを食べた日、長兄があることを確かめるために深夜に父秘伝のハヤシライスを作り始めるシーンがあるのですが、最終的に長兄の作るハヤシライスは不完全なものでした。いくらレシピを受け継ぎ、実際に父の指導を受けたのだとしても、再現することは難しかったようですね。ただ、父の味を再現できなかったことで、かえって兄妹が事件について感づいてしまいました。
◇この恋は叶うか?
兄二人と戸神成行が、各人が各人なりに静奈を幸せにしようと奮闘する様子は、彼等の幸せな将来を予感させるものでした。しかし、静奈が恋しているのは、両親の仇の息子。読んでいるこちらまで心配したくなってしまうような展開でした。
ラストシーンは、花びらが舞い散るような、いかにも幸せなシーンを迎えられて、うれしくなりましたね。
◇ミステリーとしては…
上に書いたように、最近では珍しいくらいのハッピーエンドを迎えるのですが、事件の真相はうって変わって、驚くほどテキトーな印象を受けました。上のラストシーンはおそらく著者が本作で最も描きたかったシーンであろうかと思いますが、ミステリ方面に関しては正直著者やる気ないだろ、って思っちゃいましたね。
これまで東野圭吾は5~6冊ほど読みましたが、一番好きな作品です。
** 著者紹介 **
東野圭吾(ひがしの・けいご)
1958年2月4日、大阪府大阪市生野区生まれ。『新参者』は「このミステリーがすごい!」2010年第1位。代表作『秘密』(1999年)、『容疑者Xの献身』(2006年)ほか。
wikiediaより
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