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【エッセイ】 『リストラなう!』
リストラなう!
 『リストラなう!』

 綿貫智人(たぬきち)著,新潮社,2010年7月
 ★★★★

 
 元ブログ:たぬきちの「リストラなう」日記
 









ちょっと衝撃的なタイトルの本書は、大手出版社の経営悪化に伴う早期退職優遇措置に応募したたぬきち氏の、退職の状況を実況したブログ「たぬきちの「リストラなう」日記」を書籍化したもの。
年収1000万強、退職金5000万という赤裸々な数字も公表するたぬきち氏に対して、コメント欄にも賛否両論の議論が。そういったコメントの様子もしっかり収録されていて面白いです。

たぬきち氏の場合「リストラ」というにはちょっと特殊かとは思いますが、早期退職の呼びかけにより職場の空気がどう変わるのか、大手企業の傾く様子、また書籍業界の話などが盛り込まれていて、非常に面白かったです。


========


◎大企業病への批判に気付かされること

例えば書店の人が「棚を作る」ことに大きな努力を注ぐ様子とか、著者の身の回りの人たちの働き方が垣間見れたのもおもしろかったです。
去る者・残る者に分かれた会社の観察ももちろんそうだし、ブログに寄せられるコメントからも、「お金をもらって働くとはどういうことか」がよく議論されてます。

その中でも印象的だったコメントが、「著者は甘い」「守られている」「そんな仕事の仕方をしているなんて」という類の、いわゆる大企業病に対するバッシング。もちろんこれは高給取りの著者への嫉妬もあるだろうし、著者の言及にも謙遜が含まれていると思うので、著者が本当に「ヌルい人」かはわかりません。
ただ、そんな著者の言葉とコメントとのやり取りを見ていると、色々気付かされるんですよね。
例えば下記は、著者による後輩に向けたコメント。

 僕の会社人生には悔いがある。それは、いろいろ失敗したこととか、無能なまま終わったことじゃない。あまりにも忠実に、言われたことをこなし、やらねばならない仕事を引き受けてきたことだ。そりゃ働くのは楽しいし、自分を実現できるチャンスでもある。だが、それじゃダメなんだ。
 会社を失っても仕事を失わないための力は、会社の仕事をしてるだけじゃ身につかない。(中略)
 同志を募り、会社が命じることじゃないことを始めて欲しい。君は優秀な兵士であることをやめ、海賊になるべきだ。
その21「去る者からの伝言」より)


これって当たり前のことですよね。
言われたことをただやるならマックのバイトと変わらなくて、全てをこなした上でさらに提案をすること、自分でプロジェクトを生み出すことが、求められていることだと思います。ここまでを含めて「会社が命じること」と捉えるべき。

ところが、そうわかってはいるんだけど、気付けば自分も力を抜いているし、言われることをこなして満足して、「当たり前」のはずのことができなくなってしまってる。自分のプロジェクトを進めることを忘れている自分に気付くんです。

叱責のコメントを読んで、他人の働き方を知って、改めて背筋が伸びる思いでした。



◎誰でもキラーコンテンツを持っている。その言葉には賛成だけど・・・

僕には1点だけ、著者に承服しかねるところがありました。それが「キラーコンテンツ」という考え。
著者は次のように言います。

僕は、深く考えずに始めたブログが思いもよらず多くの人に読まれるようになって、1つだけ確信を持った。誰だって1つはキラーコンテンツを持っている。これだ。
その16「書店の若い衆たちと」より)

また、同社の若い世代の社員が著者のブログを痛烈に批判したことに対して、下記のようにも。(※)

なんでもいいからブログを描き始め、君の中に眠るキラーコンテンツを発見するのだ。誰だって1つはキラーコンテンツを持っている。だがそれは表現しようとしないと見つからないものだ。文字にしないと読めないのだ。ああもどかしい。とにかく君は自分を表現するために時間を使うべきだ。
その21「去る者からの伝言」より)



「誰にでもキラーコンテンツがある」というのは大賛成。その通りだと思います。
その上で、著者のブログや本書はキラーコンテンツではない、そこのところをはっきりさせたい。

なぜならば、著者のブログの成功はあくまで「大手出版社の早期退職優遇措置」という突然のイベントがあって成り立っていて、まさしくセレンディピティに他なりません。
もちろん、その好機を捉えた著者の力量もあってこその成功とは思います(僕は著者の文章や考察が大好きです)。しかし仮に著者のブログをキラーコンテンツと認めたら、リストラというイベントがなかった場合には、著者はキラーコンテンツを持てなかったことになります。それは「誰もがキラーコンテンツを持っている」という命題に反しますよね。
キラーコンテンツというのは、外的な事象を主因として生まれてはならないと思うんです。

もちろんこれは「キラーコンテンツ」の定義にもよっていて、たぶん僕の捉え方は著者の定義と違うんでしょう。だから著者が個人的に自身のブログをキラーコンテンツと呼ぶことも構いません。ただ、著者のブログや本書を読んで、少しでも何かを学びたいと思う者としては、著者のブログがキラーコンテンツであってはならないんです。

キラーコンテンツはあくまで、長い時間をかけてコツコツと温め、育てたものであるべきです。その努力があって始めて、何らかのきっかけのもとに世に出るべきでしょう。
ブログである必要だってないはずです。表現の方法はいくらでもあって、できることなら仕事の上で表現したいし、あるいは表現を仕事に結び付けていくべきです。


とかなんとか、生き方も含めての「働き方」を深く考えさせられる一冊でした。
ぜひブログの1ページだけとかでも、読んでみることをお勧めします。


つんく♂の場合
      ↑この人は豊富なキラーコンテンツをお持ちでうらやましいですね


※ 一部の抜粋なので、この引用では著者の真意が伝わらないかもしれません。あくまで「キラーコンテンツ」についての著者の考えに関して引用しました。


** 著者紹介 **
綿貫智人(わたぬき ちじん)
本書出版にあたってのペンネームで、ブログでのHN「たぬきち」に対し、本書出版にあたってのコメント欄の価値を参酌し、「人々の輪」という意味を加えたもの。
大手出版社の早期退職優遇制度に応募し、その様子を実況したのは本書及びブログの通り。
また退職後は、「たぬきちの野良犬ダイアリー」にて近況を綴っている。
産経ニュースによるインタビューはこちら(著者写真あり)



** この本を紹介しているサイトさん **
「言霊」さん
「添え物は添え物らしく」さん
「人生を書き換える者すらいる」さん
「酔いどれ広報マン中国をゆく」さん
「ジャパニーズ・ビューティ」さん
「abukan」さん
Otoya

===ノート===

■働き方について

・伊集院静氏のエッセイ(P58)→ブログ「その7」
どんな状況でも会社を復活させるほうに身をおきなさい。人生を金で計算したら終わりだ。仕事を続ける。これが社会人の鉄則です。悠々自適というが、あの言葉は幻想です、人間、何もしなかったら、仕事をやめたら生きる軸が失せてしまいます。

・「同一賃金同一労働」がなぜ実現できないか(P97)→ブログ「その11」snさんのコメント
 →倫理観と言うよりは、自由市場が導いた結論であると指摘

・大企業病に対する辛らつなコメント(P264)→ブログ「その28」職人系フリーランスクリエイターさん

・自分をポートフォリオにできるか(P332)→ブログ「その38」

・ポイントは、地を這うような生き方ができるか(P334)→ブログ「その38」コメント

・欧州の貴族はなぜ賭博をするのか? それは勝ちではなく負けを学ぶためだ」(P329)→ブログ「その38」


■出版・電子書籍・および今後の経済について

・電子書籍のコンテキスト化についてのディスカバー21社についての考察(P77)→ブログ「その10」

・コンテンツ消費ではなくコンテキスト消費(P127)→ブログ「その15」
『1Q84』のBooK3は、作品そのものと言うよりも、コンテキストとしての消費に意味がある

・電子書籍化時代の予想(P240)→ブログ「その26」のコメント
返本・売れ残りリスクの肩代わりが出版社には多かった。電子書籍時代には売れっ子作家は自分で電子出版し、syっパン者は新人の発掘が役割文単位なるかも
 →確かに村上龍が最近自分で始めた(2010年10月)


■コンテンツの作り方について

・そしてキラーコンテンツは、「ちょっとイヤな感じ」がするところにある(P145)→ブログ「その16」
例として返本情報(なぜ売れなかったか)を例示。

・人は物事を見るためのセットを予め持っている(P204)→ブログ「その22」
ブログを書いたことで「人はこう読む」ってわかったのはとても収穫だった。人は文脈とか物事を見るためのセット(構え)を予め持っていて、そこに引っかかる情報だけを拾う

・書籍そのものも大事だが、作家・作品の位置を把握することも重要(P243)→ブログ「番外編5」


■未来観など

・佐々木氏の予想(P209)→ブログ「その23」
ネグリとハートの帝国論を下敷きに佐々木さんのノマド論を敷いたもの。
ずっと遠くの未来、国民国家が終焉を向かえ、帝国が世界をおおうようになる。そのとき会社組織もその生命を追え、大勢のフリーランサーが働いて世界を動かすようになる。
 →遠い未来だろうか?
テレビが万能ではなかったように、ゆっくりじっくりものを考えられない人を量産するという問題は増徴していく、と指摘。
 →そうだろうか?
「正義が実現される」ではなく「正義が集約される」と言うべきでは、という指摘。

・電子書籍化黎明期のいま起きているフォーマット競争や各種企画の立ち上げについて、幕末を例示(P338)→ブログ「その39」
代官が反射炉を作ったり、各藩が独自に軍隊を調えたり。上の判断を仰いでいる場合ではない。

・何かが崩れるときは、別の何かが生まれるとき(P337)→ブログ「最終回」コメント

・・・

テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

関連するタグ Otoya 【文芸書】 【エッセイ】 【経済産業】 【社会/政治】 【メディア】 たぬきち
エッセイ | 23:55:32 | トラックバック(0) | コメント(0)
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