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【エッセイ】 『イタリアからの手紙』と骸骨寺
ローマの街中を歩いていると、よくS・P・Q・Rと書いたポスターが壁に張ってあるのを見ることだろう。ローマ市の告示で、これだけは2千年前と同じSenatus Popurus Que Romanus(ローマ元老院並びに市民!)とくるのだ。
しかし口の悪いローマっ子はこれを、Sono Porci Questi Romani(ローマ市民は豚である!)と読むのである。
(本書4編目「皇帝いぬまにネズミはびこる」より)


『イタリアからの手紙』
塩野七生著,新潮文庫,1972年6月
★★★★

イタリアからの手紙 (新潮文庫)イタリアからの手紙 (新潮文庫)
(1996/12)
塩野 七生

商品詳細を見る


本書は『ローマ人の物語』の著者・塩野七生の綴る、イタリアを巡る24編のエッセイです。
それぞれが読みやすいばかりでなく、イタリアの色々な街や人々を、著者独自の切り口で描きます。
少し古いですが、イタリアについて知りたい人は手ごろかも知りません。


========


イタリアの有名デザイナーで政治家でもあるエミリオ・プッチについて書いた『仕立て屋プッチ』、徴兵制について軍医候補生の視点から描いた『ある軍医候補生の手記』、スパゲティの歴史について言及する『マカロニ』など、題材は様々。
また、『カプリ島』『マフィア』『ヴェネツィア点描』など、各地域の特色についても触れられています。

特に面白かったのは『ナポリと女と泥棒』ですね。
ナポリは泥棒の多い非常に治安の悪い町で、10分でも目を離せば車が盗まれるとか。
その中でも第2次大戦終結後に、停泊していたアメリカの戦艦を1隻盗んでしまったという事件は、治安が悪いとかを通り越して痛快です。


さらに特筆すべきなのは、塩野七生の鋭い視点でしょう。
共産主義者・関係者は破門であると聖告を発して20年後には、ローマ法王がモスクワへ向かう矛盾(『法王庁の抜け穴』)、調べてみれば皇帝以来2千年間下水道掃除をしなかったことに気付く現代ローマ人の気質(『皇帝いぬまにネズミはびこる』)、イタリア寺院の豪華さについての合理性の考察(『シチリア』)など、実に中立な視点で考えが述べられています。
これには共感でした。

太りすぎの高位聖職者を乗せたSCV(Stato della Citta del Vaticano;ヴァチカン市国)ナンバーの黒塗り高級車を見て、Se Cristo Vedesse(もしキリストが見たならば)と読むローマ人の紹介も笑えます。
(『皇帝いぬまにネズミはびこる』)



さて、実は今回イタリアを旅行してきたのですが、本書『骸骨寺』で紹介される教会に足を運んでみたので、それについて書こうと思います。


SANTA MARIA IMMACOLATA CONCEZIONE (通称:『骸骨寺』)
カトリック・フランチェスコ派による寺院,1626年
★★★★



何が骸骨かってそりゃもうアナタ、このお寺は5つの窟から成るのですが、その壁面の装飾は全て修道士の遺骨により作られているのです。その数なんと4000体分!


骸骨寺1
↑通路の様子。装飾は全部骨

骸骨寺2
↑窟の1つ。ミイラが5人いるのがわかります


ミイラはもちろんのこと、大腿骨によるアーチや、頭蓋骨のベッド、シャンデリアまで骨でできています。
あとは死神の鎌まで骨で再現されているのが楽しかったです。
特に肋骨がいい感じの曲線を出していて、装飾には使いやすそうでした。

いっしょに行った友人は背筋が震えたと言いましたが、僕は楽しく鑑賞できました。
4000体分も集まると逆にコミカルです。ここで肝試しはさすがに勘弁ですが。


と、不謹慎なことを述べましたが…。

でもやっぱり人間は、生きていてこそ意味があるんだと思います。
ある大切な人がいた時に、なぜその人が大切なのかと言えば、その理由は肉体にあるのではなくて、その人の「記憶」と「人格」に由来するのだと思います。
これらの情報が揮発したならば、残された肉体に意味はありません。

もちろんそれでも死者を冒涜することに恐れを抱いてしまうのが人間ですが、その点でこの骸骨寺は、人間の見せる死生観の1つとして貴重な意味を持つのではないでしょうか。
これだけの作品を作り上げた人たちは、一体どんな気持ちで死体を処理し、これだけのものを作り上げたのか…。


塩野七生は本書の中で述べます。

『この墓所を見た人は、“愛の宗教”であるはずのキリスト教のもうひとつの顔を知るであろう。そして、キリスト教と深くつながり、ヨーロッパ人の専売のように思われてきた、いわゆるヒューマニズムというものが、どの程度のものかも理解できるはずである。』
(『骸骨寺』より)


ローマ市内でもかなり行きやすい場所にあるので、興味のある方はぜひとも訪ねて見て下さい!
アクセスは下記の通りです。


** 骸骨寺へのアクセス **
ローマの中央駅にあたるテルミニ駅から地下鉄で2駅、バルベリーニ駅から徒歩3分。
バルベリーニ広場を過ぎたヴェネト通りの入り口にある。
拝観料は1ユーロ以上のお布施を入り口で渡せばよい。



** 著者紹介 **
塩野七生(しおの ななみ)1937~
学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに留学。68年に執筆活動を開始し、初めての書き下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により毎日出版文化賞受賞。この年からイタリアに住む。92年よりローマ帝国興亡の1千年を描く『ローマ人の物語』に取り組む(2006年に完結)。2002年、イタリア政府より国家功労賞授与。07年文化功労者。
(本書より)



** 骸骨寺について紹介しているサイト **
珍寺大道場さん
JUNTAさん
Otoya


テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌

関連するタグ Otoya 【小説】 【エッセイ】 塩野七生 【文芸書】
エッセイ | 18:38:34 | トラックバック(0) | コメント(0)
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