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【社会】 『100年予測』(1/2)
100年後の世界情勢はどうなっているのか?

これってどの時代も言われてきたテーマだと思うんですが、僕はこうした未来予測に興味があって、1冊読んでみました。地政学の手法を用いて、まずは1900年からのこの100年の経緯を分析し、2010年以降について10年刻みで予想しています。
中国ロシアの崩壊、日本トルコポーランドの勃興、世界戦争は起きるが大規模なものにはならないというシナリオ、そしてアメリカから唯一覇権を奪えるとしたらメキシコではないかという予想、などなど非常に刺激的な内容でした。

ちなみに本書はクーリエ・ジャポンという雑誌が選んだ「30歳までに読んでおきたい世界の名著100冊」でも紹介されていました。


100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図 『100年予測』
 ジョージ=フリードマン著,2009年10月
 ★★★★★

 <目次>
 序.アメリカの時代とは何か
 1.アメリカの時代の幕開け
 2.地震 -アメリカの対テロ戦争
 3.人口、コンピュータ、そして文化戦争
 4.新しい断層戦
 5.2020年の中国 -張り子の虎
 6.2020年のロシア -再戦
 7.アメリカの力と2030年の危機
 8.新世界の勃興
 9.2040年代 -戦争への序曲
 10.戦争準備
 11.世界戦争 -あるシナリオ
 12.2060年代 -黄金の10年間
 13.2080年 -世界の中心を目指す戦い





========


けっこうマジメにレビューしたいので、長文になりますがご容赦を。


◎地政学って言われても

予測の下敷きにとなる地政学ですが、地政学とはなんぞや? ということでwikipediaはこちら
本書における地政学とは、地理的環境、近隣国との相対的な環境、経済・技術状況などを加味して、その国に取れる行動を考えるもの。著者が説明するところでは、チェスは無限に手があるが、相手や環境を考えると打てる手は絞られるはずで、国の動向についてもそうした相対関係に基づいて、どのような手を打つことが可能であるのかを絞り込んで予測したそうです。

地理的環境、経済・技術状況では、ヨーロッパ世界の発展がわかりやすいかもしれません。
イタリア半島の付け根にある海洋国家ヴェネツィアは、かつて地中海に軍事的・経済的な影響力を持つ千年王国でした。しかし15世紀に遠洋航海術が開発され、貿易の主戦場が地中海から大西洋・アジアに広がると、欧州の主要国の地位はスペインやイギリスにシフトしました。
(ヴェネツィアといえば塩野七生の『レパントの海戦』もお勧めです)

もちろん原因は様々ですが、地理的環境や保有する技術・経済力はその国の行く末を規定する要因のひとつになります。
アメリカが現在覇権国としての地位についている理由についても著者は、太平洋と大西洋の両方にアクセスできることが欠かせない要件だったと分析しています(もちろん第2次大を通しての政策の成功も踏まえつつ)。すなわち、もしアメリカが当初の東部のみを版図としていたならば、現在の影響力を持つことは不可能だったはずだとのこと。



◎何を目的に動いているのか? を見極める

また、国家には主権維持/拡大のために必須のシナリオがあり、各国ともそれぞれの地政学上の目標を念頭に行動をするはずだという仮説も立てられています。
例えばアメリカの場合は以下の通りで、1~4を達成し、現在5段階目にあることがわかります。

1.アメリカ陸軍が北米を完全に支配する
2.アメリカを脅かす強国を西半球に存在させない
3.侵略の可能性を排除するため、アメリカへの海上接近経路を海軍が完全に支配する
4.アメリカの物理的安全と国際貿易体制の支配を確保するため、全海洋を支配する
5.いかなる国にもアメリカのグローバルな海軍力に挑ませない


国によっては第1段階も達成できない場合もあるものの、各々こうした目標があって、このようなマクロ視点では政治家の個性などの点は無視できるということです。
ヒトラーがいなければ虐殺は起きなかったかもしれませんが、国家としてのマクロ的な行動については、誰が首相であっても当時のドイツはああする必要があった、という風に。


未来予測でこうした手法があることを知ったのは初めてだったので、なかなかおもしろかったです。現在の各国の地政学上の目標を分析するだけでもおもしろいかもしれませんね。
また客観的指標として、人口動態と経済規模も用いています。この人口動態というのが未来予測の最大のキーで、2050年前後まで続く高齢社会化とその後の人口減少が、各国の地政学上の目標に大きな影響を与えています。
人口の推移は信頼できる予測値だと思うので、これを理由にするのは説得力が出せると思いました。



◎あの夏に人々は何を思ったか

さらに未来を予想する上で重要なのは、過去と現在を知ること
池上彰も「今起きていることを知るためには、そのちょっと昔にさかのぼればよくわかる」と言っていますね。
ここで、本書冒頭に書かれた1900年からの20年刻みのダイジェストが未来予測するの上で非常に役立つと思うので、ちょっと長いですが引用させていただきます。("/"マークは中略の意味)


いまは1900年の夏。
あなたは当時世界の首都だったロンドンに暮らしている。この頃、ヨーロッパが東半球を支配していた。/ヨーロッパは平和で、かつて無い繁栄を享受していた、実際、ヨーロッパは貿易と投資を通じてこれほど深く依存しあうようになったため、戦を交えることは出来なくなった。あるいはたとえ戦争を行ったとしても、世界の金融市場がその重圧に耐え切れなくなり、数週間のうちに終結する、といった説が大真面目に唱えられていた。

今度は、1920年の夏。
ヨーロッパは大きな苦しみを伴う戦争によって引き裂かれていた。/帝国はことごとく消え去り、何年も続いた戦争で数百万の命が失われた。戦争がようやく終わったのは、アメリカが100万の兵を送り込んだときである。/
アメリカや日本など、ヨーロッパ勢力圏の周縁部に位置する諸国が、いきなり大国として浮上した。だが1つだけ確かなことがあった。不利な講和条約を押し付けられたドイツが近いうちに再び浮上するはずがないということだ。

さて次は1940年の夏。
ドイツはフランスを征服し、ヨーロッパを支配していた。/ドイツに立ち向かう国はイギリスただ1国のみで、まともな人の目には、戦争はもう終わっているように思われた。ドイツの千年帝国がありえないとしても、少なくとも今後100年のヨーロッパの命運は決まったようなものだった。

続いて1960年の夏。
ドイツは5年と経たずに破れ、戦争で荒廃していた。ヨーロッパはアメリカとソ連により占領され、二分された。/アメリカはソ連を包囲し、その圧倒的な核軍備をもってすれば、数時間のうちにソ連を全滅することもできた。アメリカは世界の超大国として躍り出た。全ての海洋を支配するアメリカは、核戦力をバックに、いかなる国にも条件を指示し、それに従わせることができた。

次に、1980年の夏。
アメリカは7年間続いた戦争に敗れた。相手はソ連ではなく、共産主義国の北ベトナムだった。/アメリカはベトナムから追われ、続いてイランからも追われた。/急速に勢力を増していた強大なソ連を阻止できるのは、中国との同盟しかないように思われた。

それでは今が2000年の夏だったら。
ソ連は完全に崩壊した。中国は共産主義とは名ばかりで、実質は資本主義化していた。/世界は平和で豊かだった。/残る問題と言えば、配置やコソボといった手の施しようの無い国の地域問題だけだと思われた。

そしてやってきたのが2001年9月11日である。
世界は再び覆された。



要するに著者が何を言いたいかというと、そのとき予想しうる現在の延長としての未来だけは、どうやら起こることはなさそうだということ。アメリカの対テロ戦も近い将来には忘れ去られるし、今勃興しつつある新興国が将来にもプレゼンスを発揮しているかと言えば、それは怪しいということ。

事実は小説よりも奇なりといいますが、100年前にこの20世紀史を出版したとしても、どれだけ信じてもらえたかわかりません。本書で書かれる未来予測もかなり踏み込んだ内容になってましたが、この20世紀史に比べればお手柔らかなものでした。

本書で書かれる100年間の出来事が、本当にそのシナリオ通りに起こるとはもちろん考えられません。しかしながら、地政学上の目標が正しいならば、各国はこの本に書かれるような行動を取り得るように思われます。あるいは本書で書かれたある国の行動が、少し別の時期や近くの別の国によって実際に行われるかもしれません。
言い換えるならば、この本に描かれた出来事のいくつかは、類似した事象として必ず起こるのではないか、と僕は思っています。


さて、特になるほどと思った予想について感想を書こうと思ったのですが、長くなってしまったので次回書こうと思います。
次回は、中国、日本、トルコ、メキシコの未来について、本書の予想にコメントしたいと思います。


** 著者紹介 **
George=Friedman(じょーじ ふりーどまん)1949~
ハンガリー生まれ。ニューヨーク市立大学卒業後、コーネル大学で政治学の博士号を取得。ルイジアナ州立大学地政学研究センターを経て、1996年に情報分析機関ストラトフォーを創設した。テキサス州在住。
著書に『新・世界戦争論―なぜアメリカは戦うのか』『ザ・カミング・ウォー・ウィズ・ジャパン―「第二次太平洋戦争」は不可避だ』など多数。
(本書より)

Otoya


テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学

関連するタグ Otoya 【一般書】 【社会/政治】 【未来学】 100年予測 ★★★★★
社会/政治 | 00:22:39 | トラックバック(0) | コメント(0)
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