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【SF】 『一九八四年(新訳版)』
彼は今、<ビッグ・ブラザー>を愛していた


『風の歌を聴け』
『一九八四年(新訳版)』

   ジョージ・オーウェル

   1949年  (新訳版2009年)

   ハヤカワepi文庫

   ★★★★











<あらすじ>
「オセアニア」国政府は、党の政治方針と施策により、非常に満足度の高い生活を送っていた。その国民は、大変な劣悪環境下で働かされ、(自宅であっても)常時あらゆる方向から「テレスクリーン」で監視され、ニュースは(事実に反して)国の繁栄を讃える。「思考警察」が跋扈し、子供達は身近な大人(自身の親を含む)を告発することが最大の栄誉で、告発された親は自分の子供が立派に育ったと喜ぶ。国民の唯一の娯楽は、犯罪者の処刑を見に行くことと、毎週の<2分間憎悪>。そして、その国を統べるのは、昔の戦争で武功をあげ英雄となった、通称「ビッグ・ブラザー」である。全国民は党の言うことを全て正しいと信じ、ビッグ・ブラザーを愛している。
本作の主人公スミス・ウィンストンは、ある時、この国の生活が異常であることに気付いてしまう。しかし、生きる力、自由な思想の行使こそが人間の自然な姿であり、この最悪な世の中を変える力になるはずである、とスミスは固く信じ、行動を始めるのであった。




◇地獄!

あらすじを読んで、もう意味がわからなくなったことでしょう。とにかく世界観の設定がものすごいです。

異常な政治体制をリアルな国民生活にまで落とし込み、現実感たっぷりに描く著者の手腕に、まず驚きます。さらに、党の重要な裏付けとなっている論文まで作成して、作中で引用しているのですが、特筆すべきは言語。現代の標準英語(オールドスピーク)を文法から編纂し直し、「ニュースピーク」を作り上げています。巻末付録として「ニュースピークの諸原理」まで付いている徹底ぶり。しかも、その新言語は上記の重要論文の1テーマであり、本作の世界観の要となっているのです。ここについては、解説が非常に面白い考察を展開していました。

「二重思考」を核とした異常な論理が全てかっちりとかみ合い、世界観が物語をどんどん回していきます。唯一にして最大の矛盾は、その世界観が人間の自然な姿、生命の本質からかけ離れているという点です。

以前『23分間の奇跡』を紹介しましたが、本作も切り口は違いますが、教育と政治の重要性について考えさせられる作品でもあります。
しかし本作は、それだけにとどまらず、人間の権利、尊厳、社会のあり方、などありとあらゆる面について、考えられ得るだけの最悪な世界を描いています。1949年、戦争を直に体験し、その集結すぐ後に発表された本作は、1984年という40年後を最悪に描くことで、何を伝えたかったのか。
本作では戦争の描写は全くないのですが、幸せとは、人間とはなんなのかについて、とても考えさせられる作品です。



◇Q

本作は、タイトルから想像できる方もいると思いますが、村上春樹氏の最新作『1Q84』の元ネタとなっています。残念ながら私は『1Q84』を未読なので、本作が及ぼした影響はよくわかりません。
ただ、本作が、多くの作家に影響を与えたSFの傑作であることは間違いありません。

その一例として、本作を読んだことがない人でも「ビッグ・ブラザー」という言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。大抵、独裁者や画一的な傾向を批判する意味で用いられるのですが、こんな↓使われ方をされていたりもします。
1984年(現実)のMacintosh発売の際にAppleが放った有名なCMがあります。当時圧倒的なシェアを占めていたIBMのPCに対し一石を投じる、という比喩をこめたものです。また、最近は絶大な人気を誇るAppleに対して、今度はモトローラが反逆する、という皮肉たっぷりのパロディCMまで生まれました。


もう1つ例を挙げると、私が毎日欠かさず訪れるブログがあります。(以前1冊紹介しましたが)経済評論家かつ作家の三橋貴明氏が、最新のニュースや公式発表に基づいて政治経済について超わかりやすく解説したブログです。そのブログの名前が『新世紀のビッグ・ブラザーへ』
このブログタイトルは、「今の日本にもビッグ・ブラザーが現れようとしている!」という警鐘を鳴らすと共に、その「新世紀のビッグ・ブラザーへ」対抗する様々なメッセージを送り続けている、という意味が込められています。「今の日本にそんなんいるわけないだろ」と思うかもしれませんが、氏のブログを3日分も読んでもらえれば、一体誰のことをさしているのかが、よくわかると思います。
しかし、ビッグ・ブラザーを抜きにしても(経済がメインコンテンツですし)、大変に面白く勉強になるブログですので、オススメです。

話が逸れました。

有名な割に意外と読んだことのある人が多くない本作ですが、あまりに負の要素が強すぎるので、当然かと思います。人によっては、最後まで読めないかも知れません。
とはいえ、『Holy Brownie』は是非とも「オススメしない」作品でしたが、本作はそんなことはありません。人にも勧めますが、ただし「覚悟して読んでください」。

私は、開始2ページでもう読むのを止められなくなりましたが、読み終えた後はしばらく己の乱読を後悔しましたね。



◇結末はまさかの…

世界観ばっかり書いて、ストーリーや登場人物について全く触れていませんが、まったくどうでもいいからです。本作は、社会的影響力が大き過ぎます。というか、本音としては、本書はちょろっと感想を書くには、いろいろと重すぎます。
一度は読んでおくべき本だと思いますが、願わくば現実の世界に生きていて、本作のことを思い出さないような社会を望みます。望むということは……いえ、なんでもありません。




** 著者紹介 **
ジョージ・オーウェル
1903年、英国領インドのベンガルに生まれる。文学のみならず、二十世紀の思想、政治に多大なる影響を与えた小説家。名門パブリックスクールであるイートン校で学び、その後数年間ビルマの警察に勤務。やがて職を辞し帰国すると、数年間の放浪を放浪を経て、作家となった。主な著書に長編小説 『動物農場』やスペイン内戦に参加した体験を綴ったルポルタージュ『カタロニア讃歌』などがある。1950年没。
本書より

sing

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SF | 06:41:03 | トラックバック(0) | コメント(0)
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