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【歴史】 『年表で読む日本近現代史』
『年表で読む日本近現代史』 『年表で読む日本近現代史』
   増補改訂版

   渡部昇一

   2009年

   海竜社

   ★★★★








<目次>
第1部 栄光と活力に満ちた独立近代国家・日本への道
第2部 大正デモクラシー期の日本を覆った国際情勢の暗雲
第3部 戦後日本の経済成長と"東京裁判コンプレックス"





◇「本当の」日本の歴史教科書

本書は、歴史上の事件や出来事1つにつき見開き1ページで簡潔にまとめた教科書です。
1つ1つがとても短いので大変読みやすいです。

本書の最たる特徴は、我々が小学校以来教わっている「歴史」とは異なり、出来事に対して背景をキッチリ説明していること。西暦何年に何が起こった、なんて知識は大きな流れを掴んでいなければたいして意味を為しませんから。

たとえば、板垣退助の民撰議員設立建白書に象徴される「自由民権運動」。
「学校」では、反体制派の運動が政府を動かし、ついには国会開設・憲法制定にまでこぎつけた、日本の民主主義の先駆けのような素晴らしい運動として教えられています。

しかし、不思議に思ったことはありませんか? というか、私は思っていたのですが。

その少し前、明治維新のときに発布された五カ条の誓文に、こんな文章が含まれています。
「広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スベシ」
自由民権運動が起こらなくても、すでに明治政府の最初の方針に、国会開設が含まれていたのです。
もちろん政策実行が遅かったがゆえの自由民権運動勃発という面も否定できませんが、他の重要政策が山積み(廃藩置県実施、西南戦争や佐賀の乱など不正士族の反乱鎮圧)でそれどろではなかったための遅れ、という事情もありました。
しかも秩父事件などの自由民権運動は、政府が国会開設・憲法制定に着手しだしてから発生した事件が多かったりします。

こうしてみると、反体制派が政府動かしたという「学校」の教えは、政府側の事情が説明されていない、怪しい(少なくとも「薄い」)ものであることに気付かされます。子供向けだから背景は省いた、という言い訳(をした人がいるかどうか知りませんが)では片付けにくいのではないか、と思うわけです。

本書は、このような裏事情(別に裏でもなんでもないんですが)を通してさまざまな出来事を「繋げて」解説しており、少し前に流行った『もう一度読む山川日本史』のように、本当にただ同じものをもう一度読ませるような教科書とは一線を画した構成で歴史を学ぶことができます。



◇歴史教育にひとこと言いたい

第二次世界大戦で敗戦国となった日本は、自国の近現代史を語る際、諸外国に大変な(過剰すぎるほど)気を遣っています。それは現在の教育方針にも現れています。日本史の授業で「現在」を教わったことがある人は皆無に近いのではないでしょうか?

私は高校生のとき、1回だけ「現在」まで学んだことがあります。
その歴史教師は最初の授業で宣言しました。「俺の授業は、1年間で小泉さん(当時)までいく」と。そうして縄文時代から始まった授業ですが、10ヶ月ほど後、ほんとうに小泉首相まで授業が進んだのです。もちろん、途中の授業はかなりのハイペースで、細かいところは省略しまくったのですが、それでも流れは掴むことができましたし、何より「歴史」と自分の生きている「現在」が繋がったことが私には衝撃でした。

それ以来、私は不思議に思っていました。
近現代史ってかなり大事じゃね? 極端にいえば、「日本古代中世史」と「日本近現代史」に科目分けて、日本史だけで2年かけた方がいいくらい。なんでこれまで受けてた(ほとんどの日本人が受ける)日本史の授業って「現在」まで辿り着かないで終わってんの?と。
具体的な歴史観やら解釈やらをどうこう言いたいわけではなく、せめて土俵に乗せろ、と思うわけです。

その後は理系の道に進んだために、ほとんどこの手の話題に及ぶ機会が多くありませんでした。そうした背景があるので、本書は私がまさに読みたかった歴史教科書と言えるわけです。



◇偏って当然

歴史というのは、「語る」人によって見方が大きく変わるものでもあります。どの時代・事件に重点をおくか、誰の立場でモノを見るか、などさまざまな解釈ができます。

本書というか著者の渡部昇一氏は、ある意味で「日本の味方」の歴史観を持っています。つまり、現政府の方針とは逆、ということですね。もう少し具体的にいうと、本書の前書きに「田母神問題」と「自虐史観」について触れていることからも、その立ち位置がわかります。というか、本書の著者は、田母神さんが応募した懸賞の選考委員ですし。

ただし、本書はあくまで教科書として書かれているので、読者の思考を無理に自分の主張側に誘導しようとしているわけでもありません。学校の教科書も、本書も、それぞれの事件についての詳細はわかりませんが、著者によって語り方が変わってしまうのは当然のことかと思います。読者はそれを踏まえて読むべきかと思いますが、やはり高校生以下くらいではその判断は難しいですよね…


本書は版を重ねるごとに少しずつ最新の出来事を取り入れているので、出来ることなら全ての版を揃えたくなってしまいます。おそらく次版の最後のページは「東日本大震災」でしょう。
これから日本は、何年もかけて震災からの復興に全力を上げることになります。そのため今の日本に必要なのは、「どういう方針で復興していくか」という指針です。
政府は(官房長官は頑張ってるようですが)リーダー不在とも言える状況ですが、政府がどういう体制であれ、国民一人ひとりがこの先どうやって生きていくか、日本をどうしていくか、を考える必要があるんじゃないかと思うわけです。(前々回のOtoyaのコラムもどうぞ

本書は、そのための下準備として、「いま」読むのにちょうどいいのではないかと思い、紹介します。


** 著者紹介 **
渡部昇一(わたなべ・しょういち)
1930年10月15日生まれ。英語学者、評論家。専攻は英語文法史。上智大学名誉教授、ミュンスター大学博士、ミュンスター大学名誉博士。

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学

関連するタグ sing 【一般書】 【歴史/人物】 渡部昇一
歴史/人物 | 23:12:50 | トラックバック(0) | コメント(0)
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