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【推理/ミステリ】『魔王』
あなたは気付いていますか?
昨日と違う今日に。そして今日と違う明日に。



魔王 (講談社文庫)
 『魔王』

 伊坂幸太郎,講談社,2005年10月
 ★★★














久しぶりに読む伊坂幸太郎作品。ここで紹介するのは初ですね。
モーニングに連載していた『モダンタイムス』という小説があるのですが、まだ伊坂幸太郎を知らなかったころ(たぶん2年前くらい)、連載中の1話だけを読んで激しくのめりこんだ覚えがあります。

途中部分をちょっとだけ読んで、あれだけ続きが気になるというのは、本当に一文一文が無駄なく書かれているということなのでしょう。

『モダンタイムス』は2008年10月下旬に刊行されました。
これは今回紹介する『魔王』の50年後を書いた作品となっています。
ということで、まずは『魔王』から読んで見ることにしました。


========


1.あらすじとテーマ

本書は「魔王」「呼吸」の2編から成ります。
主人公はそれぞれ、会社員である安藤と、共に暮らす弟・潤也。
複数の切り口をもって1つの物語を語るというのは、伊坂幸太郎の十八番ですね。

作品のテーマは「世の中の流れ」
群集心理やファシズム、統率と個などが、ごく日常的な角度から書かれています。

「魔王」では安藤が主人公。
安藤は「自分が念じれば、それを相手にしゃべらせることができる」という能力に気づきます。
そしてその能力を持ってある男に近付きます。
100年前と今ではまったく世界の様相は異なるわけですが、それぞれの時代を生きる人々はそのことに気づけているでしょうか。
僕達は昨日と今日、そして明日において何が変わったのか。それを意識しているでしょうか?
主人公はそのような誰にも気づかない微かな変化に危機感を抱き、能力を携えて立ち向かいます。

「呼吸」では弟の潤也(というかその恋人)が主人公。
「魔王」の5年後の世界を描いています。
果たして「魔王」あと世の中はどれだけ変わったのか、流れはどのように主人公達に影響しているのか、というのも見ものですが、潤也の持つ別の能力にも着目です。



2.挿話とカラクリ

この作品で改めて気付かされる著者の魅力は、挿話とカラクリです。

伊坂幸太郎の作品はいずれも、たとえ話や小さなエピソードを登場人物がテンポよく語ることで有名です。
雑談のように、小さなたとえ話やエピソードが積み重なって、それを「なるほどねー」と楽しみながら読み勧められます。
それらのエピソードは音楽から豆知識まで非常に広く、しかも軽快でわかりやすくて、読んでいて飽きません。

でも本当にすごいのは、そのエピソードの全てが小さな伏線になって、複雑にストーリーの進行や登場人物たちの心象を示唆しているところ。
例えば、『紙を折りたたむ時、10回折りたたんでも1センチの厚さにしかならないが、25回折れば3000メートルに達する』という話が紹介されます。
そしてそれは後の潤也の行動の重要な伏線として機能します。

それから、「魔王」と「呼吸」をまたぐ文章のキャッチボールも小気味いいです。
伊坂幸太郎作品は構成がいつもパズルみたいですね。
そしてそのパズルの仕掛けこそが、ストーリーにいくつもの謎を落としこみ、僕たちを楽しませてくれています。



3.『魔王』における試み

多くの伊坂幸太郎作品では、「神」が共通のテーマとなってはいるものの、多くは日常生活が書かれています。
しかし『魔王』では少々嗜好が異なり、政治や社会と、そこに住む個々のあり方、個々を率いることのあり方についても深く言及されていました。
著者は決してテーマではないと述べていましたが、著者の重要な主張が含まれていることは確かだと思います。
もちろん描写の主体は登場人物たちの日常ですが、政治等への言及は著者にしては珍しいなと思いました。

意見を言えば、著者の考え方には大きく賛成です。
そしてさらに、政治や社会といった固いテーマを、登場人物たちののんびりとした、皮肉のこもった乾いた笑いの中にしっかりと載せている点で、再度著者の技量に敬服させられました。

また、文庫本の解説で斎藤美奈子さんも述べている通り、本書刊行後に政治でおきた事件を多く言い当てている点でも、著者の洞察力に驚くところです。


『魔王』の舞台から、50年後の日本。検索から、監視が始まる。
というアオリの『モダンタイムス』。著者が近未来を書くのも珍しいので、こちらも非常に気になります。



** 著者紹介 **
伊坂幸太郎(いさか こうたろう) 1971~
東北大学法学部卒業後、SEとして働くかたわら文学賞に応募、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。その後作家専業となり、エンターテインメント性豊かな作品を発表し若い世代を中心に支持を集めている。
作品間での舞台設定や登場人物、事件にリンクがあることが特徴。また、多くの作品について、在住の仙台を舞台にしている。
『重力ピエロ』『グラスホッパー』『死神の精度』等で直木賞候補となる。本屋大賞において唯一第1回から第4回まですべてにノミネートされ、第5回に『ゴールデンスランバー』で同賞を受賞。同作品で第21回山本周五郎賞も受賞。さらに直木賞候補にもなるが、これについては「執筆に専念する」としてノミネートを辞退。
(wikipediaより)



** 他にこの本を紹介しているサイトさん **
「マロンカフェ~のんびり読書~」さん
「本を読んだら・・・byゆうき」さん
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「苗坊の徒然日記」さん
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推理/ミステリ | 22:35:17 | トラックバック(4) | コメント(0)
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