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【SF】『神様のパズル』
「宇宙は無から出来た」
「無ならそこら中にある」
 ってことは——?


『神様のパズル』 『神様のパズル』

    樹本伸司

   第3回 小松左京賞

   2002年11月 角川書店
   2006年5月 ハルキ文庫

   ★★★


   映画公式HP




皆既日食も近いことですし、夏らしく宇宙ネタを。


あらすじ
留年寸前の大学生・綿貫基一(わたぬき・もとかず)は、不登校の天才少女・
穂瑞沙羅華(ほみず・さらか)をゼミに参加させるよう、教授から命じられた。
ある日、聴講生の老人の疑問を穂瑞に伝えたところ、彼女はゼミに現れたのだった。
そこで彼女が提案した衝撃の研究テーマとは…!?




主人公コンビが科学の究極の難問に挑むハードSFです。
そのテーマとは、“人間に宇宙は作れるか?”

量子力学相対性理論を礎とする、ガチガチの現代物理学です。
しかし、「ハードル高そう」とか思う必要はありません…と言いたいところですが、正直に言います。
ここまで読んで興味湧く人が読めばいいかと。

と、ネガティブな紹介から入りましたが、読んでみるとこれがかなり面白いです。

学術的(物理学的)内容よりも、
「なぜそう考えられるのか」
「どうやってそのアイディアを思いついたか」

といった“発想法”や“(物理学的)考え方”に主眼を置いているため、
また、ストーリーは物理の成績が芳しくない主人公の視点で語られるため、
(SFにしては)かなりわかりやすいです。



◇宇宙創生SF

私も科学というか相対性理論やら標準模型やらの現代物理に興味をもっていますが、
特に専門ではないので知識は人並み程度です。
それでも本書で提示される“宇宙の作り方”
すなわち、アインシュタインの言った「神様のパズル」の“答え”
正直、かなり納得してしまいました。
初めて読んだときは目からウロコでした。ちなみに2回目では粗が見え始めました。

神(造物主)が宇宙を作る上で設定したルールがシンプルなものである、ということは、
理系の端くれである私自身も何となく感じてはいましたが(理系は皆そうなのかな?)、
本書の“答え”ではE=mc2素粒子の挙動もわかりやすく解釈(イメージ)できてしまうことに驚きです。

ただし、ストーリーとの兼ね合いもあるのか、概念的な解説のみなので、
シミュレーションの条件設定や、
「光子場仮説」と場の量子論との関連性(これはもう少しキッチリ書いてほしかったです)
も怪しいのですが、「神様のパズル」に一つの答えを出したことで
十分に価値のある本格SFに仕上がっています。



◇何のために物理を学ぶのか

本作は、主人公コンビの成長を描く青春物語でもあります。
極端な話、上に長々書いてきた物理がサッパリわからなくても、
「ふ〜ん、そんなもんか」ですませても問題ないです。

本書では、
 物理、そして宇宙の真理を学ぶ目的とは。
 生命が無から生まれて無に帰る、その意味は。
 全ての物事が科学的に解明されたその先、人間は。

といった最先端の物理科学とは比べものにならないほど難しい包括的な問題を提示しています。
物語全般を通して、ほとんど役に立っていない橋詰老人と田んぼの婆さんの役割が、
この点において非常に重要なものとなっています。
それにしても、主人公が農業して米作るSFなんか聞いたことがない(笑)

テーマが“科学というシステム(系)”ではなく人間が科学すること”について重きを置いているため、
そのへんが上記の“物理学的考え方”とつながってくるわけですね。
うーむ、深い。



◇科学で全てのことが説明できる?

個人的には、“音楽が、物理学と密接な関連があるとしつつも、「人間」の感情・心理という
ファクターが入ることで未知の領域となる”
というところが気に入りました。

料理を食べるのにレシピを知る必要はないし、
音楽を楽しむのに作曲法を知らなければいけないわけではない。

作中でもクラシック音楽が頻繁に使われ、ストーリーとしても大きな意味を持たせています。
その辺のことをまとめたラストの主人公の「保障論」は職人気質な感じでいいですね。
頭ではなく体を動かすことに重要な意味をもたせているあたりは
養老孟司氏に通じるものがありますが、要は引き籠ってないで身体動かせってことですね。
久しぶりにジョギングでもしてこようかな。

映画版ではロックンロールに絡めており、(びっくりするほど客の少ない映画でしたが)
私はかなり楽しめました。(予告編
締めに『歓びの歌』を持ってくるとは、
“アインシュタインとベートーヴェンの繋がり”説(私の妄想)を知ってのことか?と。


そういえば、ノーベル賞受賞者の南部陽一郎氏がタイム誌の「世界に最も影響を与えた100人」
に選ばれたとか。
麻生総理の言じゃないけど、「日本の底力」の1つは間違いなく科学技術力ですね。

果たして主人公コンビは宇宙を作れるのか?作るのか?
たまには、壮大なスケールのロマン溢れるディープな世界に浸ってみるのもアリではないでしょうか?



** 著者紹介 **
樹本伸司
1956年、兵庫県宝塚市出身。甲南大学理学部卒。
出版社、映像製作会社を経て、1993年フリーのPR映画ディレクターに。
代表作『メシアの処方箋』、『僕たちの結末』。(本書より)


** この作品をレビューしている他サイト **
◆書 評 の 間◆」さん
Weep for me - ボクノタメニ泣イテクレ」さん
りょーちの駄文と書評」さん
隣の芝は青いけど僕はこっちで満足 」さん

** 参考リンク **

・市原隼人『歓びの歌』(映画版の一部のため、ネタバレあり)
・茂木健一郎クオリア日記「アインシュタインの孤独」
・高エネルギー加速器研究機構KEK
・大型放射光施設Spring-8

(次回から乱世特集の後編です。お楽しみに)

sing

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌

関連するタグ sing 【小説】 【SF】 【神様】 【音楽】 【青春】 樹本伸司 【文芸書】
SF | 00:50:44 | トラックバック(0) | コメント(0)
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