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【時代小説】 『燃えよ剣』
 幕軍は、老中格松平正質を総督として、諸隊を部署した。
 兵数からみれば、幕軍のがわが、圧倒的に優勢である。
 「この戦さは勝つ」
 と歳三は信じた。
  新撰組、それもしぼってみれば、江戸から京都にかけて苦楽を共にした二十人内外が、
  おそらく奮迅のはたらきをするであろう。
  歳三は、ふしぎと心がおどった。
 多摩川べりで県下に明け暮れていた少年の歳三が、いま歴史的な大喧嘩をやろうとしている。
  その興奮かもしれない。
  やがて暮も押しつまり、年が明けた。
  明治元年。




燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)
 『燃えよ剣』
 司馬遼太郎著,新潮文庫,1972年6月

 ★★★★















「乱世」特集いよいよの最終弾は、幕末の京を血飛沫で染め上げた壬生狼・新撰組の
“鬼の副長”、土方歳三を描いた『燃えよ剣』です。
(乱世特集はこちらからどうぞ)

幕末を彩る新撰組。
思想戦の様相を呈し、時勢が二転三転してややこしい幕末ですが、
新撰組はそんな「幕末」という乱世を象徴する存在といっていいのではないでしょうか。


========



◎「京が、新撰組の戦場だと私は心得ている。」

本書ではまず、多摩川べりの餓鬼大将だった歳三が、やがて“鬼の副長”として、京の町はおろか隊員にまでも恐れられるようになる様子が描かれています。
歳三は、ただ「新選組を強くする」という目的のため、伊東甲子太郎や山並敬介、一心同体ともいえる近藤勇までもが時代の潮流に流されて(あるいは感化されて)いく中、あえて政治や善悪などを考えないようにしていました。

    「私は百姓の出だが、これでも武士として、武士らしく生きて死のうと思っている。
     世の移りかわりとはあまり縁のねえ人間のようだ」


歳三は百姓の出であるがゆえに、人一倍、武士らしくあろうとしました。
その結果として、規律を重んじる鬼の副長が生まれたのでしょう。
自らのスタイルを貫き徹した歳三に率いられていたからこそ、隊員たちもまたそれに惹かれ、
新撰組は研ぎ澄まされていったのではないか、と思います。



◎歳三は、なにもいわなかった。お雪もそれ以上たずねなかった。

本作では、お雪との恋が、歳三を歳三たらしめている大きな要因ではないか、と思います。
これは、歳三を歴史上稀に見る機能的組織・「新選組」を作り上げた“鬼の副長”に終わらせず、
一人の人間としての生き様や、その信義を感じさせる大きな意味になっていると感じました。
特に、二人の間の感情が「恋愛」でも「愛情」でもなく「恋」であることに、
著者が非常に神経を使って慎重に書き進めたことが読み取れ、まさにこここそが
(物語の核心ではなく)“土方歳三という人物”の核心なのではないでしょうか。



◎「どうやらおれのおもしろい生涯が、やっと幕をあけたようだ」

さて、世が乱れるに呼応して夢のために集まった男たち。
かれらは剣を片手に太閤以来のセンゴクドリームを信じて、日の本の中枢・京で豪放快活に振舞います。
粛清と誅殺に明け暮れながら、近藤勇に歳三に、彼らの青春は碁盤目の路地そこかしこにありました。

しかしそんな青春も長くは続かず、王政復古とともに近藤は自らの思想がすでに時代に置き去りにされていることを思い知ります。
それでも幕府軍は、数の上では圧倒的に有利であり、勝利を疑わない土方歳三。
そんな期待にあふれる彼らを描きつつも、著者は言うのです。

    「この戦さは勝つ」
    と歳三は信じた。幕軍は、老中格松平正質を総督として、諸隊を部署した。
    兵数からみれば、幕軍のがわが、圧倒的に優勢である。
    やがて暮も押しつまり、年が明けた。
    明治元年。


”明治元年”!
まだ戦も始まらぬのに、読者はその4文字で、彼らの運命を知るのです。

乱世は勝者ばかりを生みません。
歳三と近藤もやがて、読者に遅れ馳せながらも自らの運命を悟っていきます。
破滅を知りつつも、五稜郭そして箱館まで転戦を重ね、文字通り幕末の最後まで足掻いた歳三。
絶望的な状況におかれたとき、彼らが何を見出したのか
それが本書の醍醐味だと思うのです。

     時勢などは問題ではない。勝敗も論外である。男は、自分が考えている美しさのために殉ずべきだ、
    と歳三はいった。
     が、近藤は静かにいった。おれは大義名分に服することに美しさを感じるのさ。
    歳、ながい間の同志だったが、ぎりぎりのところで意見が割れたようだ、
    何に美しさを感ずるか、ということで。


あなたは何に美しさを感じ、そしてそんな彼にどのような美学を見出すでしょうか。


ということで本書を読んで一言。

 ・周囲に怖れられるほどに確固たるものを持つことが“男の典型”。
 ・追い詰められたその時にこそ、真価は問われる


日本における激動の近現代史の黎明、明治維新を剣一本で生き、そして死んでいった男の活躍と素顔を、淡々と、しかしリアルに描いた時代小説の傑作です。
必読。


** 著者紹介 **
司馬遼太郎(しば りょうたろう)1923~1996
産経新聞社在職中『梟の城』で直木賞を受賞。以後、俗に「司馬史観」と呼ばれる独自の歴史観に基づいて数多くの作品を執筆、歴史小説に新風を送る。歴史考証が極めて巧みで、歴史家でもどこからが史実でどこからがフィクションかわからないことがある。
戦国・幕末・明治を扱った作品が多く、代表作に『国盗り物語』『竜馬がゆく』『坂の上の雲』など。
また、『街道をゆく』をはじめとするエッセイなどで活発な文明批評を行った。
1993年文化功労賞、1996年従三位追賜。
(Wikipediaより)



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** これまでの乱世シリーズ **
1) 平安鎌倉 『定家明月記私抄』
2) 平安鎌倉 『義経』
3) 戦国大乱 『GOEMON』
4) 戦国大乱 『秀吉入門』
5) 戦国大乱 『へうげもの』
6) 江戸治乱 『人斬り以蔵』
7) 江戸太平 『お江戸でござる』
8) 江戸太平 『漆の実のみのる国』
9) 幕末維新 『十一番目の志士』
Otoya sing

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌

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時代小説 | 22:56:51 | トラックバック(0) | コメント(0)
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