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【時代小説】 『レパントの海戦』
1571年、オスマン帝国迎撃



レパントの海戦 (新潮文庫)
 『レパントの海戦』

 塩野七生著,新潮文庫,1987年
 ★★★














レパントの海戦は、1571年、ヨーロッパを席巻せんとしていたオスマン帝国をギリシャ沖で迎撃した、欧州史を旋回させた海戦です。
本書では、塩野七生が中世の「戦争」を描きます。


========


◎歴史を変えたのは、その5時間か?

「海戦」というと日本海海戦や太平洋戦争などの砲戦を思い浮かべますが、この時代ではどちらかというと水軍同士の戦いです。
ヴェネツィアを中心とした神聖同盟側の秘密兵器として、大砲攻撃に特化した新鋭船ガレアッツァが登場しますが、基本的には船と船を接舷しあって、刀剣にて戦っています。

この5時間あまりの戦いで、トルコは240艘の軍船2万5千の兵を失います。
一方神聖同盟の喪失は12隻にとどまり、死者7600人と、その差は歴然でした。

脅威であったオスマン帝国を初めて扼することに成功したと言う、欧州史では重要なこの戦い。
果たしてその意味はこの5時間だけにあったのか? というのが塩野七生の問いかけです。

なお、情緒的な記述もありますが、塩野七生はその辺は下手と言わざるを得ないですね。
ただ、ヴェネツィア共和国に住む1小市民を登場させたことで、軍人や国家だけでなく「市民」やその「生活」という要素を盛り込み、厚みを持たせているのはさすがです。



◎本当の敵は近くの隣人

資料に基づく綿密な時代考証と、当時の価値観への想到はさすが塩野七生です。
そんな本書は、左翼艦隊司令官バルバリーゴと、トルコ駐在大使バルバロという2人のヴェネツィア人を主軸にして、神聖同盟司令官ドン・ファン、トルコ艦隊提督アリ・パシャや王子ウルグ・アリ、海の傭兵ドーリアや海賊シロッコという、海戦に参加した様々な人物の視点も交えて描いています。

さて、僕が驚いたのは、あれほど憎むべき敵世界であったトルコにまでも外交館があったこと。
16世紀にはすでに外交主体の戦争がなされていたんですね。
そしてトルコ駐在大使バルバロを介しての、トルコの政治事情と欧州各国の思惑が絡むのが、本書の最大の醍醐味です。

欧州諸国。これがさっぱりまとまりません。
教皇を担いでのイデオロギーのテコ入れ、野心あるスペインとの交渉、地中海世界での影響力を保持したい海洋大国ヴェネツィアの評議会・・・
様々な国の利害をどうにかまとめて、なんとか海戦までにもっていきます。



◎戦争とは外交手段のひとつに過ぎない

どの時代のいかなる戦争もそうですが、戦争とはあくまで外交の一手段に過ぎません。
それが他の外交手段と大きく異なるのは、それが最終手段であると言うこと。
塩野七生は、戦争とはその前後にこそ意味があるといっています。そして本書ではそのことを実に丁寧に教えてくれます。

人や国家は結局思想だけではまとまりきらず、明確な利益が必要です。
誰かを動かしたいと思ったとき、相手の利益を考えなければなりません。
これは『世界市場を制覇する国際標準化戦略』でも述べられていたことですが、他人を巻き込んで何かするというのは本当に難しいことですね。



16世紀は、地中海世界が最も華やいだ時代です。
そしてこの海戦以後、世界は大西洋へ、そして全地球へと移っていきます。

ヨーロッパ世界はこの戦いに勝利しましたが、地中海世界に覇を唱えたヴェネツィアの栄光は、これを期に翳ることに。
本書は『コンスタンティノープルの陥落』『ロードス島戦記』に続く三部作の3作目なので、できれば最初から読みたかったです。
あとはヴェネツィアを描いた『海の都の物語』もいずれ読まなければですね。


** 著者紹介 **
塩野七生(しおの ななみ)1937~
学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに留学。68年に執筆活動を開始し、初めての書き下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により毎日出版文化賞受賞。この年からイタリアに住む。92年よりローマ帝国興亡の1千年を描く『ローマ人の物語』に取り組む(2006年に完結)。2002年、イタリア政府より国家功労賞授与。07年文化功労者。
(本書より)



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時代小説 | 02:58:34 | トラックバック(0) | コメント(0)
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