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【時代小説】 『利休にたずねよ』
「あれからだ。
 利休の茶の道が、寂とした異界に通じてしまったのは」



『利休にたずねよ』

  山本兼一

  2008年11月7日

  PHP研究所

  第140回直木賞

  ★★★★★



※ 今回はあえて<あらすじ> なしです。


◇なぜそこまで、

物語は、利休が秀吉に切腹を命じられた時から、周囲の様々な人物に視点を変えながら
どんどん昔に遡っていきます。

利休がなぜ茶の道を究めることを志したか?

切腹を命じられてもなお己を曲げず、茶の湯に人生を捧げたのはなぜか?



ご存じのように、利休は茶の湯を究め、
前人未到の領域“茶道”にまで高めました。

利休はそれでも満足せず、なお美しいものを追い求め続けます。

ストーリーがいくら時を遡っても、見えてくるのは、利休の心の奥にあるものを
誰も(利休の妻でさえも)知らない、ということだけ。
実際、様々な登場人物が不思議に思い、時には直接、利休にたずねますが、
利休はただただ“お茶を濁す”のみ。
天下人・秀吉さえも、薄々は利休の“源”を察しつつも、ついに聞き出すことはできませんでした。

茶の湯もさることながら、人たらしの天才・秀吉の追求をかわすのは並大抵の胆力ではありませんね。結局、切腹になっているのでかわしてないかも知れませんが。

趣向を凝らしたことを悟られているようでは「我が茶の湯は、まだまだ未熟」
という利休のプロフェッショナル論は、なかなか言えることではありません。



◇玉か石か

新田肩衝、紹鴎茄子、天目茶碗、書では生嶋虚堂、密庵、狩野永徳の絵画など、
多数の美術品が登場します。
(黄金の茶室も入れたいところですが、あんな意味があるとなれば…)
若冲がいろんな意味でヤバかった『皇室の名宝』展も相当な逸品揃いでしたが、
利休は、高級品はもちろんのこと、欠けた安物の茶碗でさえも“大名物”に仕立て上げることができました。
このへんの話は以前紹介した『へうげもの』も読んでみてください。

本作では、利休は誰もが一目見て絶品とわかる、美しい緑釉の香合を隠し持っています。
茶の湯を嗜む大名などごく一部の者で噂になりつつも、利休の弟子でさえほぼ存在すら知られていない香合。秀吉に黄金一千枚で買うといわれても決して手放しません。
これが物語のキーアイテムになっています。重要なネタバレなので書きませんが、筆者の(物語における)小道具の使い方が非常に上手いと感心しました。

侘び寂びの利休が意外とプレイボーイなのに驚きましたが、彼の中では美を追求することの一環みたいです。このやろう。



◇茶の先にあるもの

著者の美の描写は、数行眺めただけで茶室のような落ち着いた空間に引き込んでくれるほど、じっくり丁寧に“点てられて”います。
物語は全般を通して“静”が流れますが、最後の最後で語られる与四郎(利休の青年時代)の
物語は、凄まじい“動”
それまで抑えながらも時折噴出していたエネルギーの源流が描かれます。

「ただ一日、うたかたのごとく消え去るのが茶ではないのか」
私は、この秀吉の一言で思いました。
茶道は「音楽」だなと。
楽音こそ鳴らないものの、伝統の技術と状況に応じた即興性が
異世界とも思える空間を作り出し、人はそれに包み込まれることを愉しむ
という意味では、全く同じではないかと。
また、人を虜にする魅力を果てなく備えているところも。


しつこいくらいに「茶」に色を付けてみましたが、本編では更にこだわり抜いて茶が描かれます。
利休の美の源であることに感動し、同時に狂気の源であることに戦慄させられる傑作です。
結構な御点前でございました。


** 著者紹介 **
山本 兼一(やまもと けんいち)
1956年京都生まれ。同志社大卒業後、出版社勤務、フリーランスのライターを経て、作家になる。代表作『火天の城』は、第11回松本清張賞受賞、第132回直木賞候補、2009年には西田敏行主演で映画化された。2008年『千両花嫁―とびきり屋見立て帖』で第139回直木賞候補。現在最も注目されている時代小説家のひとり。


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時代小説 | 21:16:30 | トラックバック(0) | コメント(0)
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